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「ランドセルは義務?」「重すぎる!」 新型の通学バッグが次々と登場する背景軽さと機能性(3/5 ページ)

» 2023年02月28日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

貸し出しサービスを実施

 フットマークでは、20年4月に通学カバン「ラクサックジュニア」を発売した。素材はポリエステル100%で、低学年向けの重さは830グラムとしていた。

通学カバン「ラクサックジュニア プラス」(提供:フットマーク)
通学カバン「ラクサックジュニア プラス」(提供:フットマーク)

 ラクサックジュニアは、革製ランドセルに代わる商品として企画した。もともと同社では、中高生の体に負担が少なくなるように開発した通学カバン「ラクサックオリジナル」を17年に発売していた。小学生向けのランドセルに参入した狙いについて、学校教育事業部の佐野玲子氏は「小学生向けの商品がほしいという声があったのが理由の1つです。また、私の娘が小学校に入学したことも、開発に着手するきっかけになりました。ランドセルが重くて、バランスをとろうとして猫背になったり、尻もちをついたりしていたのです」と説明する。

通学カバン「ラクサックジュニア」(提供:フットマーク)

 ラクサックジュニアは、荷物をまとめて固定させる独自開発の「ブックストラップ」や、3Dパターンで設計した肩ベルトが特徴。背中へのフィット性を高めて、たくさんの荷物を入れても軽く感じられるようにしている。また、荷物をしまいやすくしたり、中身を整理しやすくしたりする目的で、カバンの全面がスーツケースのように大きく開くようになっている。

 その後、同社では成長に合わせて買い替えができるように、高学年向けの商品も投入ている。

 ランドセルといえば革製というイメージを持つ保護者が圧倒的に多い。大手小売りチェーンや、専業メーカーの商品を調べるケースが大半だが、同社ではどうやって商品をアピールしたのか。

 同社の山田樹氏によると、当初はインターネット広告や公式インスタグラムで地道にアピールをしていたという。また、ラクサックジュニアの貸し出しサービスも実施して実際に試してもらうようにした。「『ランドセル』『軽い』などと検索し、貸し出しサービスの存在を知るお客さまが多いようです」(山田氏)。貸し出しサービス利用者の約半数がそのまま購入している。

 発売当初は、「革製のランドセルを買ったけど、重くて子どもが困っている」という親が購入するケースが多かった。その後、徐々に小学校1年目から利用するために買い求めるケースが増えていった。そこで、同社ではかぶせを合皮素材に改良し、デザインを革製ランドセルに近づけた新モデル「ラクサックジュニアプラス」を22年11月に発売した。低学年用が1万6500円で、重さは890グラムだ。

通学カバン「ラクサックジュニア」(提供:フットマーク)

 ラクサックジュニアの販売数を見ると、21年が前年比235%、22年は同200%と確実に増えているという。

 順調に売り上げを増やしているラクサックジュニアだが、課題もあるようだ。

 ある保護者が「普通の革製ランドセルではないですが、ラクサックで問題はありませんか」と自分の子どもが通う予定の小学校の教師に尋ねた。すると、「学校のルール上は問題ありませんが、他の児童と違う見た目なので、いじめの対象になってしまうかもしれません」と回答されたという。

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