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「ランドセルは義務?」「重すぎる!」 新型の通学バッグが次々と登場する背景軽さと機能性(4/5 ページ)

» 2023年02月28日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

会社設立して新商品開発

 21年1月に創業したRANAOS(ラナオス、東京都渋谷区)代表の岡本直子氏は、20年から小学校に通い始めた息子が重いランドセルに苦しむ姿に心を痛めていた。また、突然の豪雨で大切なランドセルがぬれてしまったり、猛暑になると背中が汗だらけになってしまったりしているのが問題だと感じていた。

 岡本氏は軽くて大容量で防水性のある通学用リュックを探したが、自分が理想とするようなものを見つけられなかった。そこで、自ら商品を開発することに。開発にあたっては、多くの保護者や小学生の声を聞いたという。

「NuLAND(ニューランド)」(出所:プレスリリース)
「NuLAND(ニューランド)」のフラップを外した場合(出所:プレスリリース)

 21年3月に「NuLAND(ニューランド)」の販売を開始した。大きな特徴は、ファスナーでフルオープンになることだ。通常のランドセルは「奥の方から何が出てくるのか分からない」という親の声を踏まえて開発した。また、伊藤忠商事の「RENU(レニュー)」という循環型リサイクルポリエステル生地を使用しており、環境配慮というコンセプトも訴求する。色や縫い目の場所といったデザイン面にもこだわった。風通りがよくなるように背中はメッシュとなっている。

「NuLAND(ニューランド)」(出所:プレスリリース)

 4月以降に販売予定の23年モデル(24年3月入学用)の価格は3万9600円(通常モデルの場合、送料別途)。本体の重さは約920グラムだが、フラップ(かぶせ部分)をとると約700グラムになるという。22年のモデルは本体が約985グラム、フラップなしだと748グラムだったので、さらに軽量化を進めた形だ。

 代表の岡本氏によると、21年と22年のシーズンにおける販売数は、圧倒的に新1年生の入学に向けての購入が多いという。

自治体とコラボするモンベル

 アウトドア用品大手のモンベル(大阪市)は、富山県立山町とコラボし、通学用バックパック「わんパック」を開発した。これまで、同社が登山用品などの開発で培ってきた高機能素材や技術力を活用しているのが特徴。重さは約930グラムで、パソコンやタブレット、教科書などをオールインワンで収納できるようにしている。わんパックは子育て支援の一環として、23〜25年度入学の児童に無償配布される。26年度以降は反応を見て継続を検討しているとしている(出所:富山新聞22年10月12日付「軽くて丈夫通学バックパック 立山町が新入生に配布 モンベル共同開発」)。

モンベルの「わんパック」(出所:モンベル公式Webサイト)
モンベルの「わんパック」(出所:モンベル公式Webサイト)

 21年7月の記者発表会で同町の舟橋貴之町長は、「ランドセルは高額で家庭の負担にもなるため、機能的で軽く、経済的にも負担にならないものを町から子どもたちに贈りたいと考えました。それをかなえられるのはモンベルだと思い、プロポーザルに参加してもらいました。期待に応える商品を作ってもらえたと思います」とコメントしている。

 わんパックは同社の公式Webサイトでも販売している。価格は1万4850円で、3種類のカラーがある。ワインレッドの商品は「完売(今期の入荷はありません)」としている。また、残りのブルーグリーンとブラウンの入荷時期については、4月上旬〜下旬予定だとしている(2月27日時点)。

モンベルの「わんパック」(出所:モンベル公式Webサイト)

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