5年で1兆円の投資がムダに? リスキリングを生かすため、企業に欠かせない「業務デザイン力」とは働き方の見取り図(1/4 ページ)

» 2023年02月28日 05時00分 公開
[川上敬太郎ITmedia]

 政府が5年で1兆円を投資すると発表したこともあってか、毎日のようにリスキリング(reskilling:学び直し)という言葉を目にします。それだけ学び直しが注目されるのは、時代の必然と言っても良いのかもしれません。

 なぜなら、世の中は激しい技術革新の渦中にあるからです。2007年に米アップルのスマートフォン「iPhone」が発売されたのがほんの16年前。その後、世界中の生活風景は一変しました。いまや、子どもでもスマホという小型のパソコンを持ち、いつでもどこでも誰もがインターネットに接続して情報を検索し、SNSを通じて人とやりとりできる時代です。

学び直しをビジネスシーンでうまく機能させるためには何が必要なのか。画像はイメージ(ゲッティイメージズ、以下同)

 さらには、データマイニング(data mining:大量情報からの知見抽出)やAI(Artificial Intelligence:人工知能)といった技術がビジネスシーンで活用されるようになり、会話形式でAIが質問に答える米オープンAIの「chatGPT」が「ここまできたか」「まじですごい」など驚きの声とともに話題になっています。

これまでも「学び直し」求められてきたビジネスパーソン

 これらの技術革新が世の中を急速に変化させていく中で、学び直しをしなければ時代の流れに取り残されていくことになります。ただ、せっかく学び直しても、学んだことが活(い)かせなければ意味がありません。ことビジネスシーンにおいては、それが会社の競争力に大きな影響を与えることになります。新しい技術がどんどん生み出される中、学び直しをビジネスシーンでうまく機能させるためには何が必要なのでしょうか。

 社会に出て長く働いてきた人は、新しい技術が導入されるたびに何度も繰り返し学び直しを経験してきました。古くはそろばんが電卓に置き替わったり、書類の送付が郵送からFAXに替わったり。ポケットベルや携帯電話なども、都度使い方を覚えて活用してきました。中でも、近年最も大きな変化だったと言えるものの一つがEメールの普及です。

 Eメールがビジネスシーンに広がり始めたころは、同時にパソコン自体の普及も進んでいる最中でした。そのためパソコンを使い慣れていない人がEメールを使おうとする場合は、パソコンの立ち上げやシャットダウンの仕方から覚える必要がありました。また、Eメールの広がり始めには見落としも多く、Eメールを送った後に、わざわざ電話をかけて「先ほどEメールを送ったので確認してください」と伝言するといったことが普通に行われていました。

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