リテール大革命

実験店「グリーンローソン」は広がるのか アバターが「いらっしゃいませ!」レジ袋を撤廃(2/5 ページ)

» 2023年03月03日 08時35分 公開
[加納由希絵ITmedia]

アバターと会話してみた

 これは、遠隔で店内の様子を見ながら、セルフレジ操作をサポートしたり、商品を紹介したりする「アバター接客」だ。店内に設置された4カ所のモニターを通じて、一度に2〜4人のオペレーターが接客を担当。現在は、幅広い年齢層の約30人のオペレーターが勤務している。

店内の4カ所でアバター接客を実施している

 取材日に勤務していたオペレーターに話しかけてみると、違和感なくスムーズに会話できた。オペレーターの声だけでなく、体の動きを映像解析し、それに合わせて画面の中のアバターも動く。会話に加えて、手を振ってもらったり、じゃんけんをしたりと、楽しくコミュニケーションを取ることができた。

 セルフレジの横に設置されたモニターでは、オペレーターが客の操作画面を確認しながら声掛けをしてくれる。この店ではたばこやお酒もセルフレジで購入できるため、運転免許証の読み込みによる年齢確認といった少し複雑な操作も、アバター接客でサポートする(店舗スタッフが対面で年齢確認する方法も選択可能)。

セルフレジの操作をアバター接客でサポート

 この日、男性アバターを操作していたオペレーターは大阪在住で、週4日勤務しているという。もともとアバターを使ったサービスに興味があり、アバターでどんなことができるのか、自ら体感してみたいという思いから応募した。実際に働いた実感として、「お客さまの新鮮な反応や笑顔を見られることが楽しい」と話していた。

 オペレーターは、リモート接客に挑戦してみたい人や隙間時間で働きたい人、車椅子で生活している人など、多様な人材がそろっている。只野氏は「アバター接客に興味を持った理由などをお聞きし、私たちと一緒に、思いを持って実証実験に参加してくださる方を採用しました」と話す。

 また、アバター接客を活用した新たな取り組みにも着手している。全国各地の生産者がアバターとなり、来店客に遠隔で商品の魅力を伝える「ローソンアバターストア」の実証実験を2月27日に開始。来店客は生産者と直接話したり、店頭の展示品を確認したりして商品を知り、その後ECサイトで購入できる。店舗の活用方法を広げる試みだ。

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