リスキリングで昇給を実感している社員はわずか11.2%――。そんな結果が、就職情報大手マイナビが800人に実施した調査で分かった。デジタルトランスフォーメーション(DX)が企業の生き残りのカギとなり、政府は社員の学び直しの推進に5年で1兆円を投資すると発表。学び直しの機運が高まる一方で、現状はそのメリットが社員に浸透していない実情が浮き彫りになった。社員の学び直しを進めるために、企業にはどのような取り組みが求められるのか。
調査は、リスキリングの効果や社員がリスキリングに期待すること、経験者が感じたメリット、普及の課題などが明らかにするため、20〜50代の正社員800人(各年代200人ずつ)を対象に、1月6〜8日にインターネットで実施した。
リスキリングの必要性について尋ねたところ、全体の79.6%が「必要だと思う」と回答した(「とてもそう思う」「ややそう思う」の合計)。年代別では30代が83.5%と最も高く、次いで20代(82.0%)、40代(77.5%)、50代(75.5%)――と続いた。
リスキリングに期待することでは、「仕事・働き方の幅を広げること」(40.1%)が最多。次いで「学んだ知識をいまの仕事・業務に役立てること」(35.9%)、「昇給」(29.6%)と続いた。
リスキリングを現在している人や過去に経験がある人は全体の44.8%。経験者が感じている効果は「資格の取得ができた」(26.8%)が最も多かった。一方で、「昇給」(11.2%)、「昇進・昇格」(6.4%)など、目に見える形や個人の評価につながっているケースは少数に留まった。
リスキリングによる昇給への期待と現実に大きなギャップがうかがえる結果となった。リスキリングの推進には、社員がそのメリットを実感できるようにする必要がある。
調査を実施した『マイナビ転職』編集長の荻田泰夫氏は、「今後、企業が昇給昇格などについてどのように評価するのか、積極的に情報開示していくことが不可欠といえる」と指摘する。
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