新幹線のアルミが「駅舎」に生まれ変わり JR東海が初の試み 狙いは?新横浜駅の待合室にも

» 2023年03月15日 07時00分 公開
[ITmedia]

 JR東海は、新幹線の車両に使われていたアルミを駅舎の建材として再利用する取り組みを始める。これまでも引退を迎えた新幹線のアルミから、装飾材や雑貨を作ってきたケースはあるが、駅舎として利用するのは初めて。3月18日に開業する相鉄・東急直通線「新横浜駅」の待合室にも内装用建材として提供する。

JR東海は新幹線の車両に使われていたアルミを駅舎の建材として再利用する(同社提供、以下同)

 再生アルミを利用すれば、アルミを新しく製造する場合に比べてCO2排出量を97%削減できるという。

 東海道新幹線の再生アルミを建材として利用するのは、2023年度下期に建て替えを予定するJR飯田線下地駅(愛知県豊橋市)。同社は古くなった駅舎を防火性能の向上や耐震化を目的に建て替えを進めており、今回、初めて駅舎に新幹線の再生アルミを活用することになった。

東海道新幹線再生アルミを活用する駅舎イメージ

 同社によると、新幹線の再生アルミは、グループ企業の東京ステーション開発が2018年8月、引退を迎える新幹線700系車両に用いられていたアルミを建材として利用しようと検討を始めた。

 新幹線に用いられるアルミには断熱材や制振材、それを止める鉄製のボルト、塗装など多くの物質が付着。廃材としての用途は限定的だったが、東京ステーション開発がアルミから不純物を除去し、高純度のアルミ合金のみを抽出するリサイクル技術を開発し、用途が広がった。

 再生アルミは、廃車となった新幹線の車体から、不純物を除去した後に溶解・精製し、高純度のアルミ合金のみを抽出して合金ビレットに仕上げた上で、用途に応じて成形するという。

アルミに付着した不純物を除去(左)し再生アルミ合金ビレットに成形(右)した上で用途に応じて成形する

 これまでに、東京駅八重洲北口にある土産物の専門店街「東京ギフトパレット」などに「装飾材」として活用してきた他、ネクタイピンやスプーンなどの「雑貨」、新幹線N700Sの「内装部品」(荷棚)などに再利用してきた。

 また、3月18日に開業予定の相鉄・東急直通線「新横浜駅」に設置される待合室「Shin-Yoko Gateway Spot」(同25日供用開始予定)にも、室内を装飾する内装用建材として再生アルミを提供するという。

新幹線の再生アルミによる装飾が施された待合室「Shin-Yoko Gateway Spot」(相模鉄道・東急電鉄提供)

 同社は「鉄道他社とも連携して東海道新幹線再生アルミの用途を拡大し、環境負荷の低減に取り組んでいきます」とコメントしている。

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