マクドナルドでも、3月14日に期間限定で販売している「てりたま」シリーズのバーガーなど、卵を使用した商品を店舗や時間帯によって休止しているケースがあると発表した。
15日より、代わりの期間限定商品として、4月中旬までの予定で「チーズチーズてりやきマックバーガー」を投入。これは「てりやきマックバーガー」に、ホワイトチェダーチーズとチェダーチーズを加えたものだ。
天津飯が人気の「餃子の王将」を展開する王将フードサービスでは、「鶏卵の需要に対して供給が完全に不足している状態」(同社・広報)。どのメニューをいつから休止するか、各店舗の鶏卵の在庫などの事情によって異なるという。「今後、店舗によっては鶏卵を使った料理を休止させていただく可能性がある。一部の料理は金額を下げたうえで、鶏卵抜きで提供することも検討している」(同)とのことだ。
小売店でも、コンビニのセブン-イレブン、菓子チェーンのシャトレーゼ、駅弁の崎陽軒などで、卵を使った一部メニューの販売休止に踏み切っている。
セブンでは、「セブン-プレミアム 半熟煮たまご」をはじめとした約15品目を休止。「ハムとたまごのサンド」でハムを増量して卵を減量するなど、サラダやサンドイッチなどの約10アイテムで規格の見直しを行った。
また、シャトレーゼでは、「プレミアムカスタードシュー」「特濃たまごプリン」などを休止した。
さらに崎陽軒では、「炒飯弁当」を休止。「横濱チャーハン」「シウマイ炒飯弁当」などで、炒り玉子を減量し、長ねぎとチャーシューを増量するレシピ変更を行った。
スーパーマーケット最大手のイオンでは、「トップバリューの卵は在庫が潤沢にある」(同社・広報)ため心配ないとのこと。
国の方針で、業務用よりも消費者向けの卵を優先して流通させているので、大手スーパーでは卵がなくなる心配は今のところないようだ。しかし、中小の場合は卵が仕入れられない近隣の飲食店などが、店を守るために採算度外視で買いに走り、早々に売り切れてしまう事態もあるらしい。そこまで切羽詰まってきた。
一方、鶏肉に関しても鳥インフルエンザの影響が出ていることは確かだが、卵ほどではない。肉養鶏が採卵鶏ほど、鳥インフルエンザにかかっていないからだ。
また、鶏肉はブラジルなど鳥インフルエンザが流行していない国からの輸入が可能だ。
ただし、国産の卵を産み終わった廃鶏を食用化する、いわゆる親鳥に関しては殺処分されている数が多く、厳しい状況である。
少なくとも今年度に関して、肉養鶏は餌となる穀物や輸送にかかるエネルギーの価格上昇の影響を受けて値上げ基調。しかし、鶏肉の高病原性鳥インフルエンザの影響は軽微であると考えられ、心配ないだろう。
高病原性鳥インフルエンザの影響は、卵と鶏肉ではもっぱら卵に影響が出ている。しかも、流行が収まった今年の夏以降も、従来よりも1.5倍くらいの価格までしか落ちて来ない見込みだ。これからも流行が繰り返されるようだと、モチベーションの低下により養鶏農家の廃業が相次ぎ、物価の優等生からは卒業せざるを得なくなるだろう。
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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