部下の成果がなかなか出ないようだ──そのことに気付いたとき、マネジャーはどうするべきでしょうか。頑張っているのに成果が出ない部下を育てたくても、リモートワークが普及した現在では、対処がより難しくなっているかもしれません。
本来、部下の成果が出ないのはマネージャーの責任です。成果を出しやすくするための最大の秘訣は「成果が出やすい適材適所」を実現することです。
それでは、適材適所とは何でしょうか? 「Can(スキル・経験・知識・資質)」と、「Must(それに対する会社からの期待値など)」のマッチが分かりやすく挙げられますが、それだけではありません。「Want(個人が何をしたいのか)」や、それらを自律的に前に進める環境作りの重要性が、近年、あらためて認識されるようになっています。
モチベーションには「外的動機付け」と呼ばれるものと「内的動機付け」と呼ばれるものがあります。分かりやすくいうと、前者は「お金」、後者は「意義」や「やりがい」といったものです。CanとMustの等価交換は「外的動機付け」に近く、Wantが重なる部分が「内的動機付け」に近くなります。
テクノロジーの発達に伴い、単純労働は機械学習やロボティックスが代替するようになりました。人間はそれ以外の「創造性」などの付加価値を求められるようになっています。単純労働と「外的動機付け」は相性が良い一方で、創造性を求める仕事においては「内的動機付け」が必要で、ときには「外的動機付け」が創造性を阻害するという研究結果すらあります。
古くて新しく聞こえる「内的動機付け」ですが、どのように実現すればいいのでしょうか? ダニエル・ピンク著『モチベーション3.0』にもあるように、キーワードは「共感」「最適挑戦」「自律」の3つです。それぞれみていきましょう。
共感とは、ひとことでいうと「今やっている仕事に意味があると思っているか」です。
分かりやすい例え話があります。とある旅人が歩いていると、3人のレンガ積み職人に出会いました。旅人はそれぞれに質問をしました。「なぜレンガを積んでいるのかね?」3人はそれぞれ、下記のように応えました。
さて、3人とも、やっている仕事内容は全く同じです。ただ、レンガを積むために筋肉を使って働く理由が全く異なります。この例でいうと、2人目が「外的動機付け」(いわゆるモチベーション2.0)、そして3人目が「内的動機付け」(モチベーション3.0)で働いています。
さて、「大聖堂を創る」という人が生まれるにはどのようにしたらよいでしょうか? まずは、仕事を提供する側の努力が必須です。
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