やさペンの存在は徐々にSNSなどを通じて知られるようになった。「ペンギンのキャラクターに名前はあるの?」「いつから登場しているの?」――。購入客のSNS投稿がやさペンへの注目度を自然に広げていった。
「あえて前面に押し出さないことで、やさペンの存在に気づいた人がほっこりしてくれる、そんなやさしさの循環がゆっくりと広まればいいなと思いました」(柴尾さん)
さまざまなアイデアをデザイナーやイラスト作家とともに練った(サントリー提供)
ラベル裏のマンガの存在も、SNSを通じて静かに知られるようになった。マンガに台詞はなく、イラストだけのシンプルなものだが、ブランドが持つ「やさしさの循環」を表現するものとなっており、全5種類を用意している。
「やさしさの循環」を表現している(サントリー提供)
「メーカー側がボトルからラベルを外すよう促すよりは、気付けば資源の分別につながっていた、という流れの方がいいのではないかと考えました」(同)
同社がラベルに施す仕掛けは、「やさしい麦茶」だけではない。緑茶商品「伊右衛門」のラベル裏面にも同様のイラストやおみくじを掲載してきた。ラベルをはがし、透き通った緑茶の色合いを楽しんでほしいとの思いとともに、資源の分別につながることを目的としている。
3月14日の商品リニューアルに伴い、裏面デザインは「日本の文化や縁起物」をテーマにした新たなイラスト8種類を採用している。
伊右衛門のラベル裏面にデザインされている「日本の文化や縁起物」をテーマにしたイラスト(サントリー提供)
「やさしい麦茶」も4月25日にリニューアルを控え、5種類あるラベル裏面のマンガがすべて刷新されるという。
ボトル飲料は味わいだけでなく、ラベルデザインにも練りに練った作り手のメッセージが込められている。日頃、あまり意識することのないラベルに目を向けると、企業の考えや価値観など、これまで気づくことのなかった新たな発見があるかもしれない。
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