「入店お断り」ラーメン1杯を2人でシェア ルール違反なぜ起きる?コスパ重視の弊害か(1/3 ページ)

» 2022年10月29日 07時30分 公開
[濱川太一ITmedia]

 食べない方の入店お断り――。あるラーメン店がSNSに投稿した訴えが注目を集めている。2人連れの客が来店し、うち1人は注文せず、1杯のラーメンをシェアしたという。安価が売りの店側は「商売にならない」と音を上げ、「食べない方は外のベンチでお待ち頂きます」と訴えた。こうした客側の行動背景や、飲食店が被る損害について、グルメジャーナリストの東龍さんに話を聞いた。

「食べない方の入店お断り」と発信したラーメン店の訴えが話題に。画像はイメージ(ゲッティイメージズ、以下同)

 「また起きてしまったかという印象です」

 長年、飲食業界を見つめてきた東龍さんは話す。「飲食店の経営や、店の空間価値などといった視点が、まだまだ利用者に伝わっていないのではないかと感じました」

 窮状を訴えたのは、茨城県水戸市のラーメン店。1杯400円〜と安価で提供しており、「シェアして客単価200円では商売にならないため、当店はシェアをお断りします」とSNSに書き込んだ。子ども連れや、身体的理由など特別な事情がある場合はその限りではないという。

「注文せず」で店が被る損失

 注文を頼まない利用者が訪れることで、店側はどのような損失を被るのか。東龍さんに詳しく聞いた。

――「注文せずシェア」という問題はよくあるのでしょうか

東龍: そうですね。おそらく利用者は悪気がなく、出費を最小限に抑えて、なるべくいいものを得ようという考えがあったのかもしれません。メディアでもコストパフォーマンス(費用対効果)という言葉が盛んに取り上げられますが、2人連れの利用者も当たり前のようにシェアされたのかもしれません。

画像はイメージ

――利用者が注文しないことで店側はどのような損失を被るのでしょうか

東龍: 最も分かりやすいのは、やはり「機会損失」ですね。本来であれば一席1人分の売り上げがあるのが、2人座って1人分の売り上げしかない。その席を占有されているわけですよね。明らかにその時間は機会損失になります。また、テーブルを汚したり、割りばしなど消耗品を使ったりするのは、明らかに店側の不利益になります。

 もう1つ、被害を受けるのは店側だけでなく、混んでいて店外で待っている人がいるとすれば、その人にも不利益を与えていることになります。

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