バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のかスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2023年04月04日 10時02分 公開
[窪田順生ITmedia]

世界中で「マックVS. バーガーキング」

 この広告がつくられた当時、フランス国内ではマックのドライブスルーは1000店舗以上あったのに対して、バーガーキングは20店舗ほどしかなかった。少なさをイジっているわけだ。

 ただ、これにバーガーキングが「アンサー動画」で反撃する。ドライブするカップルが、この2つの看板を見て、5km先のマックに行く。しかし、彼らはそこでハンバーガーは注文せずに、店員に「これからロングドライブだから」と言って、Lサイズのコーヒーだけを購入する。そして、コーヒーを飲みながら向かった先はバーガーキング。画面にはこんな意地の悪い“感謝”の言葉が浮かぶ。

 「ありがとう、マクドナルド。どこにでもあってくれて」

 まさしく先ほどの「昭和通りの乱」ではないが、こっちは店舗数の多さではなく、ハンバーガーのおいしさで勝負してんだよ、と言わんばかりなのだ。

 このような世界各地で繰り広げられる「マックVS. バーガーキング」のイジり合戦を見てみると、日本のバーガーキングの戦い方がこうなるのも納得ではないか。

バーガーキングのイジりに対して、マクドナルドは対抗することも

 ただ、個人的には日本のバーガーキングがマックをイジる戦略には、もう一つ隠れた狙いがあるのではないかと思っている。それはマックの知名度に便乗したいとか、バズらせたいというような次元ではなく、マックとガチンコ勝負をして、マックの店を減らしていくという狙いだ。

 ご存じの方も多いだろうが今、バーガーキングは急速に店舗を増やしている。ここ4年で店舗数を順調に増やし続けており、この春にも出店攻勢は止まらず、4月26日には全国188店舗になるという。

 素晴らしいことだが、この勢いは必ずブレーキがかかる。というよりも、かけなくてはいけない。「いきなり!ステーキ」が急速に店舗数を拡大した後に、失速してしまったように毎年、鳥取県と同じくらい人口が減っていくこの日本において、かつて外食では常識だった「拡大路線」は破滅への一本道なので、どこかで「自制」しなくてはいけない。

 それを象徴するのがマクドナルドだ。

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