バーガーキングがまたやらかした なぜマクドナルドを“イジる”のかスピン経済の歩き方(5/6 ページ)

» 2023年04月04日 10時02分 公開
[窪田順生ITmedia]

王者マックの客を奪う

 マクドナルドの店舗数は、2月末時点で2960店となっている。コロナ禍で閉店が相次いだときに比べてじわじわと増えてきてはいるが、それでも昔と比べたら大激減だ。2000年当初は4000店舗近くあって、10年代も3200店舗ほどあった。

 絶対王者のマクドナルドでさえ、人口減少でじわじわと店舗を減らしているのだ。業界第2位のモスバーガーも同様で店舗数は減少傾向だ。

 さて、このように「縮みゆくニッポン」の中で、バーガーキングが300店、400店と拡大できるだろうか。

 正直に言って「難しい」。ハンバーガーを好んで食べる人口は少子高齢化でどんどん減っていくのだ。マックやモスバーガーも高齢化の対応で、さまざまな商品やサービスを開発している中で、「うまいハンバーガー」だけで成長をキープするのはほぼ不可能なのだ。

店舗数を増やすことは難しい。どうする?

 では、どうするのかというと、生き残る道は一つしかない。王者マックの客を奪ってくるのだ。消費者が減っていく日本で、ハンバーガーショップが増えれば当然カニバリが起きる。「顧客」という限られた資源の争奪戦なので、バーガーキングが生き残るのは、「ジャイアントキリング」しかないのだ。

 マックを徹底的にライバル視して、ビックマックよりもワッパーのほうが大きくて、味もおいしいというブランディングを進めて、マックの目と鼻の先に出店して正面衝突で潰していく。

 分かりやすく言えば、コンビニの近くに意図的に出店して、価格と品ぞろえでガチンコ対決をすることから「コンビニキラー」の異名をもつ「まいばすけっと」と同じ戦略をとるのだ。

 こういう特定のターゲット狙いを定めた戦い方に対して、「マックイジり広告」はいい援護射撃になる。ご存じのように、マックの広告はキムタクや妻夫木聡さんなど高額ギャラタレントが多数起用されている。「THE大企業CM」と言っていい。

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