しかし、バーガーキングの広告はそうではない。野村社長が言うように、お金をかけずにエッジの効いたアイデアで勝負している。店舗数が急増している姿とも重なる「勢い」を感じさせる。つまり、古いマックに挑む新しいバーガーチェーンというブランディングが可能なのだ。
もちろん、これはあくまで筆者の想像に過ぎない。ただ、日本の国内マーケットはわれわれが感じている以上に早く縮小している。特にテークアウトなどの普及、さまざまな個人経営のカフェやハンバーガーショップが増えたことで、地方の外食チェーンは軒並み苦しい。現在、人口が最も多い団塊ジュニアが高齢化するにつれて店舗はどんどんいらなくなっていく。子どもも生まれないし、移民を受け入れないので、インフラを増やしても閑古鳥が鳴くだけなのだ。
そういう縮小するマーケットの中で、新しいプレイヤーが成長していくためには、古い既得権益者から奪うしかない。「みんなで仲良く切磋琢磨して成長していこう」なんてヌルいことを言っていられたのは、日本の人口が増えていたからなのだ。
バーガーキングによるマックへのイジりは「ネタ」「仲いいな」「ホッコリする」なんてバカにされているが、数年後は本気のガチンコ対決になっているかもしれない。
日本のバーガーキングが、本家米国のように「マックキラー」になれるのか、注目したい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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