こうした施設に設置を持ちかけるのはもう止めて、EVユーザーが日常的または旅行時に立ち寄れて、しかも30分以上時間が掛かっても問題ない場所に狙いを定めて、急速充電器の設置を持ち掛けて欲しい。具体的にはファミレスを含む飲食チェーンと各地のホテルだ。
客としてはどうせ食事をするのに30〜40分は掛かる。その間でフル充電ができるなら一石二鳥だ。「〇〇チェーンの店なら急速充電器が設置されている」と周知されれば(このプロモーションは必須)、旅行中や出張中のEVユーザーが立ち寄ってくれる集客効果が期待でき、チェーン店オーナーも話に乗りやすいだろう。
もちろんその際、急速充電器が既存の駐車場すべてに網羅されるのは経済的に無理だ。急速充電器のケーブルを長めにして1基の急速充電器で3つぐらいの駐車スペースをカバーし、「ここのスペースはEV優先」という表示をしておくというのが現実解だろう。ホテルについては急速充電器と普通充電器を取り混ぜて設置してよかろう。
中長期的にはEVメーカーとも調整・協力して急速充電器の出力強化を進めてもらいたい。
日本車で対応できる急速充電器の出力は多くの車種で50キロワットに制約されている(上位車種になると100キロワット程度まで上がるが)。規制対応で当初は仕方なかったのだろうが、これが急速充電でも30〜40分以上掛かってしまう根本原因である。産業の初期設計が間違っていたとしか言いようがない。
これに対しテスラは最大250キロワットの急速充電に対応できるようになっており(米国では同社が独自にそうした強力な急速充電器網を整備しているそうだ)、15分間充電で最大275キロ走行できる仕様になっているとのことだ(つまり日本でのテスラオーナーは持てる能力よりとんでもなく低い使い方を余儀なくされているということだ)。
トヨタがレクサスのEV化を本気で進める過程で、日本政府に規制緩和を強力に働き掛けながら、こうした高出力の急速充電器網を独自に整備することで、先鞭をつける事を期待したい。 (日沖 博道)
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