中村: CIAとIdeinは2023年3月に提携し、エッジAIプラットフォームと防犯プラットフォームをかけ合わせることで防犯性の高いソリューションを提供していくことになりました。長岡さんはこの提携により、どのような展開を考えていますか。
長岡: 従来、防犯ソリューションの導入は「守り」の投資になってました。これを両社の技術により、同じようなコスト感で店舗が「攻め」と「守り」の投資を両立できるようにすることです。
今後、リテールメディアなどに挑戦する店舗は多いと思います。当然、ディスプレイやサイネージ、スピーカーへの設備投資は進むでしょう。これらは売り上げを見据えた「攻め」の投資です。
一方、CIAの防犯対策は店員の声かけが大きな役割を果たしていましたが、エッジAIの技術を活用することで、声かけ以外にディスプレイの表示やスピーカーの音声を使った抑止が可能になると考えています。不正行為をする人は敏感な心理状態にあり、わずかな変化にも気を配っています。映像や音声を活用すれば抑止の引き出しが増える他、声かけに比べて店員や他の来店者の安全にもつながります。
こちらは「守り」の投資であり、ディスプレイやスピーカーへの投資が攻め・守りの両方につながるのです。
中村: エッジAIカメラに不正検出技術を搭載することで、不正の予兆を検知した際、カメラ内のAIが自動で連携するディスプレイ・スピーカーに指示を出すといったことも視野に入れられるでしょう。
あわせて、このエッジAIカメラはマーケティングに必要な人流データの分析も行えます。マーケティングと防犯を1つの枠組みに入れて投資できるのは大きな意味があると考えています。
長岡: そもそも店舗来店者の99%は不正とは無縁です。その人たちの膨大なデータもカメラに収めているわけで、これを防犯のみにしか活用しないのは機会損失です。
中村: もう1つは、エッジAIによって防犯システムのコストダウンを図れることです。エッジAIは必要最低限の情報のみを送信するため通信コストが減少します。その結果、防犯システムを低コストで大規模・多拠点に展開することが可能になります。将来的には小規模店舗でも導入しやすくなります。
長岡: こうしたコストダウンと攻め・守りの投資の両立により、最初に話した「一定の被害は経費の一部」というコスト構造を既に変えられる時代になっています。
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