需要増に対応するべく、順調に留学先を拡大している保育園留学だが、発展途上のサービスであり課題も見えてきている。
一つは、需要に対して宿泊先が不足していること。特に最初にスタートした北海道厚沢部町は非常に人気が高いが、保育園の受け入れには余裕があるものの、宿泊先が足りていない。現在、拠点整備を行っており、5月にその発表を予定しているという。
もう一つは、受け入れを始めたばかりの地域で、どう利用者を増やしていくか。どの地域も自然が豊かでポテンシャルがあるが、評価が付いていない段階では選ばれにくい現状があるようだ。
「多くのご家族が利用した実績のある北海道と比較して、他の地域はその良さを分かりやすく届けていかなければいけません。中にはWebサイトがない保育園もあり、保護者が集められる情報が不足しています。そこを当社が拡充していけたらと」
今後の展望を尋ねると、「柔らかな定住」をキーワードにしていると福田氏。
「保育園留学は、移住の一歩手前にある選択肢の一つだと思っています。いま僕らがイメージするのは、ライフステージに合わせた定住です。例えば、子どもが就学する前は大自然に囲まれた北海道に住み、就学したらマッチするエリアに移動するなど。3〜5年ほどのスパンで移住できる選択肢を新たに作れたらと考えています」
未就学児の子どもを持つキッチハイク社の山本雅也社長は、北海道厚沢部町の魅力にハマり家族で移住を実現している。過疎化が進む多くの自治体では、このような若い家族の移住や長期滞在を切に望んでいる。保育園留学は、こういった自治体側のニーズとお試し移住の感覚で、地域に滞在したい都心の家族のニーズがうまくマッチしたビジネスモデルなのだろう。
環境的な魅力があふれる自治体で宿泊先を拡大できれば、保育園留学は家族にとって当たり前の選択肢になるのかもしれない。
写真提供:キッチハイク社
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