冷蔵庫には必ず入っている野菜、といったら皆さんは何を思い浮かべますか? キャベツ、白菜、ネギ、トマトなどなど、いろいろあるのですが、筆者の場合は「玉ねぎ」も有力候補です。スーパーに行くと取りあえずかごに入れる、「何にでも使える野菜」認定をしています。
そんな何かと便利な玉ねぎですが、実はフードロス削減の観点ではちょっとした“厄介者”なのです。
大手牛丼チェーン吉野家では、キャベツなどの破材を埼玉県の動物公園に寄付して、動物の飼料として活用するなどフードロス削減に力を入れています。しかし、牛丼で使用する玉ねぎは動物が食べられません。また、玉ねぎは抗菌作用が強いため、コンポストなど、生物分解でたい肥化することも難しく、捨てるしかないという事情があったそう。
その量は多い時でなんと1日500キロ程度。廃棄のために、年間数百万円の産廃コストが発生していました。
そんな厄介者の玉ねぎを粉末化し、廃棄削減に成功したのがフードテックベンチャーのASTRA FOOD PLAN(埼玉県富士見市)。同社が開発提供する乾燥・殺菌装置「過熱蒸煎機」で、吉野家の廃棄玉ねぎはベーカリー「ポンパドウル」のオニオンブレッドに変身したのです。
一般的に知られるフードロスは、製品になったあとの「売れ残り」「食べ残し」などを指しています。吉野家の玉ねぎのように、製造過程で生じる廃棄食材や食品残渣、規格外および出荷調整による余剰農作物は「かくれフードロス」と呼ばれているそう。隠れフードロスは年間約2000万トン以上、フードロスの約4倍発生しているのだとか。
ASTRA FOOD PLANではかくれフードロス削減に向けて、さまざまな食材を粉末化し、活用するための取り組みを実施しています。詳しい内容はこちらの記事を読んでいただければと思います。(『「吉野家」廃棄玉ねぎ、パンに変身 “かくれフードロス”とどう向き合う?)
フードロス削減に向けて、多くの企業が消費期限間近の価格を下げたりアップサイクルの方法を模索したりしています。他にも、廃棄の危機にある食べ物とユーザーをマッチングするアプリ「TABETE」などを導入する企業も増えています。(詳しくはこちら『高級ホテルブッフェの残り、弁当で提供 2カ月で100キロの食品ロスを削減できたアプリ「TABETE」とは?』)
フードロス削減については昨今注目が集まっていますが、かくれフードロスに関する話題はまだそこまで多くないように感じています。かくれフードロス、フードロス両方の課題に対するアプローチが進み、少しでも無駄になる食べ物が減ることを祈っています。
「吉野家」廃棄玉ねぎ、パンに変身 “かくれフードロス”とどう向き合う?
高級ホテルブッフェの残り、弁当で提供 2カ月で100キロの食品ロスを削減できたアプリ「TABETE」とは?
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