「バーニーズ」はなぜ苦戦し、売却されたのか かつてはバブルに沸いた日本を象徴する存在長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)

» 2023年05月02日 10時40分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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インバウンドを狙うか?

 新しく親会社になるラオックスでは、秋葉原や大阪の道頓堀に店舗を持ち、免税店としてインバウンドに強いことから、インバウンドの顧客も狙っていくことになるだろう。

 コロナ前、中国などアジア各国の富裕層が、日本で爆買いしていたときも、バーニーズジャパンの店舗はその恩恵を受けていなかった。だから赤字に転落していた。

 ラオックスは、中国の家電量販・EC大手の蘇寧易購集団傘下のグランダ・マジック・リミテッドが、30.39%の株を持つ筆頭株主(22年12月期有価証券報告書による)。東日本大震災の影響を受けたラオックスは、2011年に蘇寧易購の傘下に入った。ラオックスも新型コロナの影響が大きく、19年12月期の年商1295億円が、22年12月期には551億円と半分以下にまで落ち込んでいた。何か、V字回復への起爆剤が欲しいところだ。

 いずれにしても外資系の会社で、現在のラオックスは、家電の店から、ヘルスケア、化粧品、トラベル用品、民芸品などを販売する店へと大きく変貌している。バーニーズジャパンも、売れる店となるために、今後その姿を大きく変える可能性があり、波乱含みの展開になりそうだ。

バーニーズ・ニューヨーク六本木店
六本木店、紳士服ディスプレイ
西武渋谷店内観
セブン&アイは、西武渋谷店の店長だった高橋幸智氏を社長に抜擢したのだが…
ラオックス秋葉原本店。今は家電の店というより、インバウンドの中国人向け免税店
ラオックス秋葉原本店

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。


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