「沿線格差」的な視点から見た場合、東急電鉄沿線の住民は大卒以上の層が多く、比較的所得や生活水準の高い層が多いという特徴がある。東急グループの広告会社、東急エージェンシーが発表している媒体資料を見ると、東急線利用者は他社線利用者に比べて経営・管理職層の比率が高く、年収1000万円以上の利用者の割合が高い。最終学歴も大学/大学院卒の比率が高いとのことだ。
東急線の利用者プロフィール(出典:東急エージェンシー)
新聞にも当然ながら媒体資料はある。『朝日新聞』購読者はほかの新聞に比べて経営・管理職層では大きな違いは見られないものの、平均世帯年収は一般の新聞購読者に比べて若干高く、大学/大学院卒層の比率も高い。
全国紙の中で最も読まれているのは『読売新聞』ではあるものの、東急沿線の東京都の世田谷区や目黒区、神奈川県の青葉区では『朝日新聞』がシェアトップとなっている。東急の「本拠地」渋谷区を見ると、シェアトップは『日本経済新聞』、次いで『朝日新聞』『読売新聞』が続いている。
東急電鉄の利用者層と、『朝日新聞』購読者層は、比較的重なっているといえる。ちなみに、以前はこの傾向がもっと強かった。
東急グループはセグメントごとのシナジー効果が高くなるようにビジネスを展開し、その中に不動産事業を位置付けている。グループのユーザー層を的確に定めている。新聞業界でも不動産事業に力を入れる傾向があるものの、このあたりのターゲティング戦略が弱く、本業そのものに還元できていない状況にある。
東急グループの不動産ビジネスに学ぶべきことは多い。
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