東京の不動産が熱い。旺盛なオフィス需要はコロナ禍でいったんは縮小したものの、ポスト・コロナを見越して供給が再開される状況にある。都心部のマンション価格は高騰を続け、一般人には手が届きにくいものとなっている。
都市の再開発と合わせて、不動産への関心が高まり、さまざまな企業が不動産事業を手掛けようとする動きもある。新聞社や出版社といったメディア企業も、その中に含まれる(もちろん、すべてではない)。読売新聞社のように、不動産専門の人材を中途採用で募集し、これまで力を入れてこなかった不動産ビジネスを経営の柱としていく方針を打ち出した企業もある。
大手の新聞社や出版社は、部数の多い時代に手にした都市部の不動産を運用することで、経営の下支えをしていることが多い。
新聞の部数が減少している時代になると、企業全体の利益に占める不動産事業の存在感が大きくなり、メディア事業でうまくいかない分を不動産事業で埋め合わせる状況が続いている。
新聞には「ジャーナリズム」という側面もあるが、「商売」という側面ももちろん大きい。それゆえに、売れなくなると経営が厳しくなり、単に見放された商品となってしまう。企業はほかのビジネスに活路を見い出すしかないのだ。
以前から不動産事業を経営の中に大きく位置付けている業界として、鉄道がある。その中でも東急グループは、不動産を重要なビジネスの柱として位置付けている。企業のシナジー効果を高めるために、鉄道、不動産、流通などとの事業を組み合わせながら、業績向上を図っている。
例えば、部数減に苦しんでいる朝日新聞は、東急グループに学べ、と言いたくなるのである。『朝日新聞』の購読料は2023年5月に、月額4400円から4900円へと値上げし、『日本経済新聞』と同額になってしまった。
以前の『朝日新聞』の朝刊は40ページが当たり前だったのに、最近では32ページを切る日も多い。厳しい状況の中で、新聞社はさまざまな事業に取り組んでいるが、部数減を跳ね返せるほど経営の柱に育っていない。
では、東急グループの不動産ビジネスには、どんな特徴があるのか。
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