就職活動時の服装を自由に選べる社会にしたい――。紳士服ブランド「洋服の青山」を展開する青山商事は、就活生が抱える服装の悩みを学生たちとともに解決しようと、大学で授業を行う新たな取り組みを始めると発表した。同社が大学と産学連携授業を行うのは今回が初めて。
就活といえば、黒のリクルートスーツに身を包んで臨むのが長年、当然視されてきた。一方で近年は、価値観の多様化や個性を尊重する風潮が広がり、黒のスーツに画一化された就活スタイルに違和感を覚える人も増えてきている。
こうした中、同社は2022年3月、いまの就活生が抱える服装の悩みを解決するため、「#きがえよう就活」プロジェクトを社内で立ち上げた。現役の大学生や業界のビジネスパーソンがメンバーとして活動に参加し、プロジェクトへの賛同企業も現在25社・団体に上るという。
同社は今回、このプロジェクトの一環で、実践女子大学(東京都日野市)と連携した授業を5月31日から開始する。「就活時の服装の未来」をテーマに、7月までに7回の授業を開き、2年生26人が受講する。学生らは就活スタイルの歴史や現状、就活時の服装指定を企業へインタビューする他、チーム内で議論を重ね、具体策と資料を作成。学生ならではの視点で、就活生が抱える服装の悩みを解決する新たな商品やサービスを考案する。
授業は人間社会学部人間社会学科、広井多鶴子教授の担当科目で実施。広井教授は、以前より学生の就活時の服装が黒のスーツに画一化されていることに違和感を覚えていたといい、今回の産学連携授業を通して「『社会はもっと多様で懐が深いということ』『自由に考えることの大切さ』を学生に実感してもらいたい」とコメントしている。
企業の人材採用支援サービスを手掛けるi-plug(アイプラグ、大阪市)が23・24卒学生に実施し約1300件の回答を得たアンケート調査によると、夏期の就活において「リクルートスーツ以外の服で就活をしたいと思うか」との質問に、約7割が「はい」と回答。理由は「季節に適した格好をしたいから」が54.8%で最も多く、「スーツより楽だから」(31.0%)、「自分らしさを出したいから」(7.7%)――と続いた。
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