好立地の「吉野家」が採用難で休業・時短! 「時給」アップでは限界 どう乗り切る?発想の転換が必要(2/5 ページ)

» 2023年05月29日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

時給が低いわけではない

 東京のど真ん中の新宿で、吉野家のような大手ファストフードチェーンが人手不足に陥っている――これは只事ではありません。バイトが採用できずに休業を余儀なくされる状況が続けば、売り上げに影響します。

 大商圏の店舗は売り上げが高く見込めるため、休業はおろか、時短すらしたくないのが本音です。やっと新型コロナが5類に移行し、商売としてはこれからという時にこれでは経営者や店長は心配で仕方がないでしょう。なぜこのような状況になっているのでしょうか。考えられるのは「時給が低くて人が集まらない」です。そこで、周辺にある飲食チェーン各店の時給を調べてみました。

 昼の時給は平均で1222円、夜は1463円でした。マイナビの「2023年3月度 アルバイト・パート平均時給レポート」に掲載されている関東の飲食・フードバイト時給が1262円です。それよりは低いですが、ほぼ平均値です。吉野家も決して時給が低いわけではありません。それでも人が集まらないのです。

吉野家西新宿8丁目店のアルバイト募集

 人手不足が原因で営業形態を一時的に変更する店もでてきています。回転ずしチェーンの「すし銚子丸三鷹店」では、5月3〜7日の5日間、店内飲食を休止し、テークアウトのみの提供にすると発表して話題になりました。「ゴールデンウイーク中にスタッフが実家に帰省したり、旅行でスタッフの休みが重なったりしたため、商品提供のスピードやサービスの質に影響が出る恐れがあることから休止を決めた」(同社広報)とのことでした。

 理由はもっともらしいですが、ゴールデンウイークの真っただ中にスタッフがおやすみだから店を閉めるということは、昔ならあり得なかったことです。それが今では当たり前のように起こっているのです。

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