関西地方と香川県をほぼ最短距離で結ぶジャンボフェリーは、神戸〜高松間で比較すると、クルマで乗船した際の料金が高速道路の通行料金より安い。フェリー移動を休憩時間に充て、休養十分な状態で目的地に向かうドライバーの利用も多いという。また、鉄道・高速バスより運賃が手頃とあって幅広い層に利用され、深夜便は“海上を動くホテル”のように使われる。小豆島・坂手港にも寄港するため、瀬戸内の島々の観光にも欠かせない。
1988年の瀬戸大橋、98年の明石海峡大橋開通によって多くのフェリー航路が姿を消す中、ジャンボフェリーは「他の移動手段との競争力」「多様な旅客需要」、さらに「貨物・コンテナ輸送の強化」などの企業努力もあって、自力で営業基盤を築き上げて生き残ってきた。
しかし、週末やお盆・GWなどは旅客の利用者が集中。スペースの争奪戦がすさまじいという課題もあった。多客時には、「あおい」と入れ替えとなった船(こんぴら2)のカーペット敷きの船室(1区画で10人ほどが横になれる)はすぐに埋まってしまい、階段や廊下で立って過ごす人もいたほどだ。こういった“密”状態は、コロナ禍の中で改善する必要があった。
新造船「あおい」は船そのもののサイズが1.4倍ほど大型化したこともあり、ソーシャルディスタンスをしっかり確保できる個室を含め、座席も大幅に増加。自由席を除いて全席指定となり、ゆったりしたスペースを確保して船旅が楽しめるようになったのだ。
従業員が「こんな船だったらいい」というプランを出し合い、「自転車をそのまま持ち込めるサイクルピットをエレベーターのすぐ前に配置」「ベビーカート、ベビーチェア、ベビーシート設置」など、高速バスや鉄道ではまねできないサービスを充実させた。他にも、客席数以上にコンセントが設置されているため、機器類の充電にはまず困らない。
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