改革はそれだけではない。同時に売上見込み管理ができる独自のダッシュボードを開発した。下図左の棒積グラフを見ると、「受注(青)」「確定(黄色)」「着地見込(薄ピンク)」などと、進捗状況を色分けして想定の売上金額を見える化した。
営業個人はグレーで示した営業目標に対し、自分が「どれくらい達成できているか」「あとどれくらい不足しているか」が一目で分かるというわけだ。
さらにグラフをクリックすると案件明細表に移行するため、上司は部下の進捗状況や、誰が営業担当かも確認できるようになっている。進捗状況を深掘りしたい場合は、営業個人の日報に飛ぶことも可能だ。
「部下が提案しやすいお客さまのところばかりに訪問していないか、本来対応すべきお客さまをフォローできているか、障害対応に集中しすぎていないかなど、上司はダッシュボードでチェックできるようになりました。そのおかげで、部下に具体的な改善指導をできるようになったのです」(久我氏)
客観的なデータに基づいたディスカッションが可能になるため、感情論や主観論が排除され、建設的で効率的なコミュニケーションが生まれていったという。
一方、経営陣もこのダッシュボードを見れば、全体で目標達成率や見込受注金額が一目で分かるようになった。
例えば、下図左上の面積グラフを見ると、目標のトップライン(水色線)に対し、売り上げがいつごろ達しそうか一目瞭然だ。
営業の進捗状況は、ダッシュボード経由で毎朝更新される仕組みも導入。おかげで経営層から「最近、調子はどう?」と催促もされなくなった。3時間かかっていた会議は30分に短縮できるようになり、会議自体が不要になるケースも出てきたという。
「以前の営業会議はしょっちゅう『目標に届きそうか、届きそうにないか』と主観ベースのあいまいな議論に終始しがちでした。誰もデータで管理していないので当たり前ですよね。しかし、ダッシュボードに情報が集約されるようにしてからは、目標との乖離があるのかないのかを直感的に判断できます。不足があれば、すぐ対策が打てるため、より建設的な議論ができるようになりました」(久我氏)
今ではさらに一歩進んで未来予測から判断する「フォーキャストマネジメント」も可能となってきたという。ダッシュボードには今期の数字だけでなく、来期の見込み数字も表示されるからだ。
「以前はなかなか売上予測が立ちませんでしたが、今ではずっと早い段階から立つようになりました。おかげで先んじて、早めの打ち手(投資の決断)を考えられるようになったんです」(久我氏)
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