リユースショップ「KOMEHYO」「BRAND OFF」を展開するコメ兵ホールディングス(HD)は6月14日、戦略説明会を開催した。同社の役員によると、真贋(しんがん)判定をAIが補助するAI真贋機器の重要性が高まっているという。
KOMEHYOの鑑定士は、各店舗で「真贋チェック」「商品情報(型番)の特定」「状態チェック」「買取金額算出」「買取金額の説明」を行っている。AIは、このうち真贋チェックと型番の特定を補助する。
店舗のバックヤードにおいて、タブレットで商品を撮影すると型番候補がいくつか出てくる仕組みになっている。また、専用のカメラで商品のいくつかの箇所をチェックすることでAIに真贋を判断させる。
同社はAIの精度を高めるために膨大な商品データを集めている。KOMEHYOが取り扱うブランド・ファッション関連アイテムは170万点以上あるため、AI開発に最適な条件は整っているとしている。
AI真贋機器は2020年に導入を開始しており、現在は「KOMEHYO」「BRAND OFF」全店に導入されている。
なぜ、同社ではAIの導入を進めているのか。理由はいくつかある。
主力のKOMEHYOでは、22年3月期からの3年で100店舗以上の買取専門店を出店する計画を掲げている。また、リユース市場が伸長していることもあり、買取点数は年々増え続けている。同社では鑑定士の育成に注力しているが、人力によるチェックだけでは限界がある。
偽物対策の難易度も上がっている。コメ兵HDの石原卓児社長は「レベルの高いイミテーションが増えている」と危機感を募らせる。鑑定士が間違って偽物を買い取ってしまうこともあるという(偽物は社内チェックを通して再度流通しないようにしている)。
イミテーションが精緻になっている結果、経験豊富な鑑定士でないと判別しにくくなっているという課題がある。スタッフが各店舗で安心して接客に集中できるような環境整備が求められている。
専門紙「リサイクル通信」によると、21年におけるリユース業界の国内市場規模は2兆6988億円だという。市場規模は右肩上がりで成長しており、25年には3兆5000億円に達する見込みだ。
真贋の見極めにAIが活躍する場面は今後も増えていきそうだ。
※2023年6月15日午後1時、一部表記を修正しました。
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