「期日に遅れず支払う人」「緊急時の資金がある人」の割合が全国最下位の沖縄、なぜ?金融リテラシーの問題

» 2023年06月16日 12時20分 公開
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 金融や経済に対する正しい知識や判断能力「金融リテラシー」の向上が課題だ。金融広報中央委員会(事務局・日銀)が実施した「金融リテラシー2022年調査」で沖縄県内の正答率は51.0%と19年の前回調査から2回連続で全国最下位だった。「緊急時に備えた資金を確保している人」や「期日に遅れずに支払いをする人」の割合が全国で最も少なく、「お金を借り過ぎていると感じている人」の割合も多いとの特徴も示された。金融機関や教育機関などが連携し、知識の普及や学習機会の提供などが求められている。(政経部・川野百合子)

総合事務局が実施した高校生向け金融経済教育の出前講座=2月6日、県立美里高校

 調査対象は、18〜79歳の個人で全国3万人。都道府県別に年齢層や男女の人口構成比など国勢調査とほぼ同一に割り付けし、インターネットで実施した。「金融知識・判断力」に関する正誤問題と「行動特性・考え方等」など53問ある。

 知識・判断力に関しての問題では、全国平均の正答率55.7%に対し、沖縄は51.0%と4.7ポイント下回った。さらに、今回の沖縄の正答率は19年調査の51.8%より0.8ポイント低下した。

 年齢別にみると、18〜29歳の正答率が33.1%と低く、全国46位。全国と同様に、年齢層が高いほど正答率が上がる傾向があった。

 行動や考え方などに関する特徴として「緊急時に備えた資金を確保している人の割合」は全国より11.6ポイント低い。「金融トラブルの経験者の割合」は9.2%で全国8位タイだった。

 金融リテラシーが低いことから、株式を購入したことがある人や投資信託を購入したことがある人、外貨預金などを購入したことがある人の割合は、いずれも3割に満たなかった。

 学校などでの金融教育が必要だと考える人は72.1%と全国平均を上回っている一方、金融教育を受けた人は6.8%にとどまる。

 行政や各金融機関、商工団体などでつくる県金融広報委員会は5月下旬に開いた総会で、22年度に小学校〜大学校に71回、金融広報アドバイザーの講師を派遣したと報告。また家庭・社会人向けの学習会などには67回派遣した。

 日本銀行那覇支店の飯島浩太支店長は「金融リテラシー調査で連続47位、正答率51%という数字は、これまでの金融広報活動が十分でないことを示している」と指摘。

 「資産形成や金融犯罪防止のためにも、金融リテラシー向上の取り組みを粘り強く進めることが求められている」と話した。

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