「接客いらない」「早く帰りたい」 男性ニーズ特化の美容室が売上好調 どんな店なのか(2/3 ページ)

» 2023年06月17日 07時00分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

人件費比率を高め、人手不足に立ち向かう

 美容室の集客といえば、「ホットペッパービューティー」を中心とした集客サイトを使うのが一般的だ。一方、PERCUTでは1号店を除き、集客サイトは使っていない。

 「2号店でチャレンジとして、集客サイトに頼らない方法を考えることにしました。人手不足な傾向が特に強い美容室業界においては、給料を増やすことが魅力に直結します。人件費比率を高めるために、社内でのSEO対策やSNSに注力する形にして、現在では各店舗とも毎月100人程度の新規顧客を獲得できています」

 売り上げが同規模の他社と比較して人件費比率は1.2〜1.5倍と、高い水準を誇る。男性客は1階など外から中が見えやすい店舗を好まない傾向にあることから、地下や2階以上の比較的賃料が抑えられるテナントへ多く出店していることも功を奏している。

10店舗のうち9店舗が地下や2階以上だという(同前)

 生産性の向上に関して、「時間厳守」も特徴だ。PERCUTの施術(カット)は、30分が基本。予約時間に10分以上遅刻した人に対しては、施術を断ることもあるという。

 「美容室の給料が低いのは、どうしても『安さ』で勝負する傾向があるからです。そうすると、施術の時間は同じなのに単価だけが下がって、給料も下がってしまいます。一方、PERCUTでは時間単価に重きを置いています。男性のお客さまは『早く帰りたい』傾向が強いこともあるので、30分をしっかり守ることを徹底しています」

 こうした取り組みが実を結び、美容師の離職率も低い。厚生労働省が発表している「新規学卒者の離職状況」で美容室を含む「生活関連サービス業、娯楽業」の19年卒における3年後離職率は57.4%。一方、PERCUTでは年間10%を下回る程度で推移しているという。

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