ヤマハが「プール事業」から撤退、なぜ? 事業を始めたきっかけが面白い経済の「雑学」(3/3 ページ)

» 2023年07月06日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]
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L字型の「吸い込み口」を開発

 最後に、ヤマハ製プールの特徴を一つ紹介しましょう。プールには「吸い込み口」がありますが、何のために設置しているのかご存じでしょうか。汚れた水をろ過機に通して、きれいな水を供給するために必要なモノなんですよね。

 昔につくられたプールの多くは、吸い込み口が1カ所しかありませんでした。四角いマスがあって、そのマスを外せば吸い込み口がある。そこに足をつけて、吸い込まれる感覚を楽しんだ人も多いかもしれません。

L字型の排水口を開発

 ただ、吸い込み口が1カ所だけだと、どうしても吸い込む圧力を強くせざるを得ません。残念ながら、吸引力の強さが原因で事故が増えていきました。そこで同社は、何をしたのか。吸い込み口を複数設置して、圧力を分散させることにしました。

 あと、吸い込み口はプールの底にペタっと設置されているケースが多かったのですが、同社はL字タイプを開発。側面から底にかけて設置することで、吸い込まれにくい設計にしました。

 さらに、吸い込み口にも格子を設置することで、できるだけ安全に使ってもらう工夫を施しました。結果、どうなったのか。プールをつくり始めた1970年代から現在まで、プールでの事故は1件もないそうです。

同社のプールが「世界水泳選手権大会」で使われたことも

 ヤマハ発動機はボートの底をひっくり返すことで、プールをつくったわけですが、次にどのような事業を始めるのでしょうか。いまはいったん息継ぎをして、再び泳ぎ続けるのでしょう。

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