ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)のニュースリリースを見ていたら、ちょっと気になるネタがあった。同社のFRP(繊維強化プラスチック)技術を使って、カプセルホテルのユニット(ベッドの部分)を開発したのだ。ナインアワーズ社が運営しているカプセルホテル「9h(ナインアワーズ)」に8床を納入したそうである。
「ん? そのニュースのどこが気になるの? ヤマハのような大きな会社だったら、ちょちょいのちょいでつくれそうだけど。しかも8床って、売り上げ規模を考えたら、誤差のようなものでしょ」と思われたかもしれないが、もうしばらくお付き合いいただきたい。
一般的なカプセルの出入口はロールアップ式のカーテンであるのに対し、ヤマハは防音性の高い扉を新たに設計した。それだけではない。カプセルは6分割で構成されているモノが多いのに対し、4分割で組み立てられるように。部品を少なくすることで、コストを削減して生産性を向上させたのだ。
「うーん、カプセルベッドのイノベーションってことかな。業界にとっては斬新なアイデアなのかもしれないけれど、ニュースバリューとしてはちょっと弱いでしょ」と指摘したくなったかもしれないが、確かにそうかもしれない(関係者のみなさま、失礼)。ただ、このカプセルをつくるにあたって、「プールの技術」を応用していることが気になったのである。
あまり知られていないと思うが、ヤマハはプールをつくっていて、そのシェアは高い。学校のプール(20メートル以上)を素材別にみると、FRP製が56.3%に対し、金属製は39.7%。FRP製に絞ってみると、同社のシェアは94.4%も占めているのだ(いずれも2021年の実績)。
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