ボートを製造しているヤマハが、「カプセルホテル」をつくれたワケ水曜日に「へえ」な話(3/4 ページ)

» 2022年11月02日 08時00分 公開
[土肥義則ITmedia]

「安全性」を高めて、ヒット商品に

 幼稚園で買ってくれるのであれば、小学校や中学校などでも興味を示してくれるかもしれない。当時、学校のプールはコンクリート製が多かった。しかし、長く使っていると、クラック(ひび割れ)ができやすくそこから水が漏れる。また、どうしてもザラつきができるので、ケガをしやすくなる。そんな不満がたまっていたタイミングで、FRP製プールの登場である。

プールのユニット構造図

 学校のプールに対する不満は、まだまだあった。汚れた水をろ過するために「吸い込み口」を設置しているわけだが、古いプールでは事故が多かった。なぜか。吸い込み口が1カ所しかなかったので、吸い込む圧力を強くせざるを得なかったのだ。

 そこで同社は、吸い込み口を複数設置することで、圧力を分散させることに。また、形状をL字型にすることで、吸い込まれにくくした。それだけではなく、吸い込み口にも格子を設置することによって、これまで同社のプールで事故が起きたことはないという。

L字型の排水口

 このほかにも、さまざまなところで工夫が施されている。例えば、プールに突起物をなくしたことが挙げられる。水の中に入るのにハシゴを設置しているプールがあるが、ヤマハ製のモノにはない。FRPは特殊な形状にすることができるので、プールの中に足の踏み場をつくったのだ。

 このように、これでもかこれでもかといった感じで「安全性」を高めていったことで、全国でFRPプールが増えていった歴史があるのだ。21年12月時点で、6531基のプール(20メートル以上)が設置されている。

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