電気代高騰や猛暑を背景に企業が「ひんやりグッズ」に商機を見いだしている。ヒットしている商品はどのようにして開発されたのか? 売り場のトレンドはどうなっているのか? 消費者のトレンドや開発の舞台裏に迫る
雑貨などを扱っている店にフラリと立ち寄ると、昭和レトロを感じさせる商品がたくさん並んでいることがある。花柄をデザインしたグラスであったり、40〜50年前に流行ったキャラクターであったり、クリームソーダやプリンアラモードが描かれたアイテムであったり。
昭和を知らない若者がレトロな商品を手にして、このように感じるらしい。「逆に、新しい」と。雑貨だけでなく、さまざまな領域で昭和が広がっているわけだが、記者が気になった家電がある。“レトロ扇風機”だ。調理家電や理美容器具などを扱っている小泉成器(大阪市)が昭和の香りがプンプン漂う「ミニ扇風機(KLF-2035、価格6980円)を5月に発売したところ、SNSを中心に注目が集まった。
「昭和を生きてきた私が見ても納得の昭和感だった」「停止ボタンを押さなくても、他のボタンを2つ以上同時に押すと止まるヤツ」といった声が飛びかったわけだが、売れ行きはどうなのか。販売台数は公表していないが、上々の滑り出しを見せているようで。同社の他の商品に比べて2倍ほどのペースで売れていて「7月に売り切れるのは間違いない」(担当者)という。
レトロ扇風機の高さは約40センチ。小さめの設計なので、足元やデスクの周りなどに置いているケースが多いようだ。自動首振りが左右に約70度、手動首振りが上下に約30度、下に約10度の範囲で調整できるようにした。
風量は、弱・中・強の3段階。ボタンは大きく、わざと「カチっ」という音が出るようにしている。若い人は「なんのこっちゃ」と思われたかもしれないが、昭和の扇風機はボタンを押すと「カチっ」という音がしていたので、それを再現したのだ。
また、切タイマーは最大180分で、つまみの形を採用している。試しに回してみると、こちらは「ジリジリジリ」といった音がする。若い人の多くは再び「なんのこっちゃ」と感じられたかもしれないが、中には「あ、これも昭和の扇風機を再現しているのね」と思われたかもしれない。その通りである。
商品の説明をチラっとしただけで、「ふむふむ。細部にわたってレトロ感が漂うなあ」と感心されたかもしれないが、扇風機を入れる箱も昔のデザインを取り入れている。本体以外にも、懐かしさ感をちりばめているのだ。
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