「週休3日とか、下級国民には全く関係ないですよね。そんな制度を整える前に、産休や育休を取れるようにしてほしい。世間では育児休暇は、女性ならほとんどの人が取れるって思っているみたいですけど、非正規は子どもができたら終わりです。週休3日って、何をしても会社にいられる人のための制度ですよね。賃金格差、身分格差、休暇格差、時間格差、格差はどんどんと広がっているのに、下級国民のことはどんどん忘れさっている。人扱いされていないんですから、こんな国で子どもが増えるわけないですよ」
政府による今年度の骨太の方針に「選択的週休3日制の普及」が盛り込まれたことに対し、「この国は下級国民を人扱いしていない」と一刀両断するのは、大手企業で契約社員として勤務する30代の女性です。
パナソニックや日立製作所、さらにはNECが週休3日制を導入した際、本コラムでは「格差が広がる日本 週休3日の“貴族”と、休みたくても休めない“労働者”」と題して、非正規雇用問題に言及しました。
が、悲しいかな「声にならない悲鳴」は、「聞く力」をウリにするわが国のトップには全く届きません。
「優秀な人材を採るため」に国家公務員の週休3日制を導入する動きに加え、「異次元の少子化対策」を実現するために、「こども未来戦略方針」の中に「選択的週休3日制度の普及」を明記。仕事と育児を両立する労働者の心身の健康を守るため、普及に取り組むとしたのです。
先のコラムでも書いた通り、私は週休3日制自体には賛成しています。しかし、それはできる企業がやればいいだけのこと。国の政策として掲げるには、優先順位が間違っている。非正規で働く女性も法的には出産休暇や育児休暇の取得は可能ですが、実際は冒頭の女性が指摘する通り「子どもができたら辞めざるをえない」のが現状です。
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