この記事は、パーソル総合研究所が2022年4月28日に掲載した「『キャリア自律』促進は、従業員の離職につながるのか?」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などはすべて掲載当時のものです。
近年「キャリア自律」が再び注目を浴びている。キャリア自律にはさまざまな定義があるが、堀内・岡田(2009)によれば「自己認識と自己の価値観、自らのキャリアを主体的に形成する意識をもとに(心理的要因)、環境変化に適応しながら、主体的に行動し、継続的にキャリア開発に取り組んでいること(キャリア自律行動)」とされている。簡単にいえば「自身のキャリアについて主体的に考え、学び行動していること」といえる。
キャリア自律が重要であるといわれて長い期間がたつが、いまだにうまくいっているとは言い難いのが現状だ。その原因の1つとして、企業が従業員のキャリア自律を促すと離職につながるのではないかと考えていることが挙げられる。
では、キャリア自律が実現すると、従業員は本当に離職してしまうのか。パーソル総合研究所が実施した「従業員のキャリア自律に関する定量調査」によると、従業員全体で見るとキャリア自律は離職に直結するものではないが、転職市場において自身の価値が高いと認識している層については離職リスクが高まることが確認された。
一方で、キャリア自律には企業と従業員個人の双方にとってさまざまなメリットがあることや、離職リスクを低減するために有効な要素も見えてきた。
そこで、本コラムでは、パーソル総合研究所が実施した同調査の結果をもとに、企業が従業員のキャリア自律を促進することで生じる影響とその対処法をひもといていく。
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