セブン「レジ袋風」エコバッグのヒットは必然だった!? 有料化から3年、新たなビジネスチャンスを探る消費者も変化(1/6 ページ)

» 2023年07月28日 05時00分 公開
[岩崎剛幸ITmedia]

 2020年7月にレジ袋有料化がスタートして3年が経過しました。レジ袋を無料でもらえなくなってから急激に広がった物がエコバッグです。それまでも環境意識の高いセレブな奥様たちには使われていましたが、本格的に拡大したのは20年7月からです。

 有料化により、エコバッグ市場や消費者の行動はどのように変化したのでしょうか。消費トレンドを追いかけ、小売り・サービス業のコンサルティングを30年以上にわたり続けているムガマエ株式会社代表の岩崎剛幸が分析していきます。

どんなエコバッグなのか(提供:ゲッティイメージズ)

セブンのエコバッグが売り切れた!?

 5月27日、ITmediaビジネスオンラインに「なぜ、セブンのレジ袋風エコバッグが7万個も売れたのか 担当者が驚いた利用者からの声」という記事が出ていました。記事を読んだところ、そこで取り上げられていた商品はレジ袋ではなく、セブン‐イレブンのレジ袋に似せてつくったエコバッグでした。

セブンのレジ袋風エコバッグ(出所:セブンネットショッピング公式Webサイト、以下同)
セブンのレジ袋風エコバッグ(折りたたんだ状態)
弁当が入れられるようにマチを大きくしている

 「セブン‐イレブンレジ袋風エコバッグ(2個セット)」(1980円)は現在もネット通販「セブンネットショッピング」のみで取り扱っています。今はセブン-イレブン50周年記念グッズの一つとして、ニューヨークのブルックリンで活躍している日本人アーティスト「Fantasista Utamaro」デザインのレジ袋風エコバッグとなって、8月10日予約発売分の注文を受け付けています(7月21日現在)。今も予約注文で販売するほど人気が続いていることに驚きました。

 記事によると、もともとは販売用ではなくセブン&アイグループ各社や提携企業店舗の買い物でマイルがたまる「セブンマイルプログラム」の特典として提供したものだったそうです。21年1月27日に交換を開始すると、わずか1分で6000個が在庫切れとなりました。

 商品化を望む声が多く寄せられたため、セブンネットショッピングで販売を始めたところ、累計販売数が7万個を突破したのです。売り上げは1億3860万円ですから、セブンとしては大きくない金額ですが、エコバッグでこれだけの売り上げがあがったことは画期的です。

 セブンのエコバッグ利用者からは「どのファッションにも合う」「ファッション要素がある」と評価されたという話が紹介されていました。セブンのエコバッグは利便性以上に、レジ袋をオマージュしてつくったというデザイン性が評価されたから売れたのです。単にセブンのロゴ入りエコバッグにせずに、どんなエコバッグであれば買って使ってもらえるのかを考えたところがポイントです。

広げた状態
どのファッションにも合うという利用者の声も

 この現象はレジ袋有料化以降、エコバッグを購入する人が増え、プラスチックごみ(以下、プラごみ)問題に興味関心を持つ人が増加しているという一つの表れです。しかし、このエコバッグ、そもそも日本では実用性というよりも、ファッション性で売れていたというのをご存じでしょうか。

 レジ袋有料化以前から、国内外の食品スーパーのおしゃれなエコバッグは、ファッション好きな女性たちの間で人気のアイテムだったのです。

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