この記事は、パーソル総合研究所が7月11日に掲載した「都市圏と地方圏とを行き来する働き方は「幸せ」なのか?」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
2020年初頭からの新型コロナウイルスのパンデミックは、図らずもテレワークの普及を促進し、私たちの働き方に大きな変化を生じさせた。そして、私たちに対し「自分は何のために、どのように働きたいのか」といった労働観を問いかける機会になった。
筆者らが21年に行った「地方移住に関する実態調査」では、テレワークによって働く場所に制約がなくなったことで都市圏就業者の地方移住への関心を高めたことが示唆されていた。他方で、地方自治体は、コロナ禍以前より域外からの移住・定住を促進し、移住に際する助成金や就農・起業支援などさまざまな取り組みを行ってきた。
しかし、先の調査結果からは、地方移住を検討中ではあるが「移住に踏み切れない不安がある」と回答する人が51.3%と半数を超えていた。また、移住への関心が高まるにつれ、移住後のリアリティショックを報告する事例も見聞きすることも増えており、移住・定住のハードルはいまだ低くはなっていないのが現状であろう。
そこで、本コラムでは「移住・定住」と地域コミュニティーとの「交流」の間の形態として「多拠点居住」に着目する。筆者らは、多拠点居住とは「主たる生活拠点を都市圏(政令指定都市+東京23区内)に持ちながら、別の道府県にも生活拠点を設けて定期的に行き来する生活」と定義した。都市圏と地方圏を行き来するという働き方が個人・雇用組織・地域(自治体)それぞれにどのような影響を与え得るのか。最新の調査結果を基に紹介していきたい。
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