一方、明るい上司が部下のやる気を高める効果は、限定的といえます。明るく振る舞い、部下の気持ちを盛り上げてくれる上司が職場にいたら嬉しいですが、「その上司のためにやる気を出して頑張ろう」とまではモチベートされないのではないでしょうか。
ミスをして落ち込んでいた部下が明るい上司とコミュニケーションすることで気分が晴れたとか、笑顔の上司につられてこちらも笑顔が増えて気分が上がるといった効果は期待できますが、公平さに比べると影響は限定的です。
それでも、組織に明るいリーダーシップが求められる場面があります。業績が低迷しているときです。
業績がふるわない会社には、暗いイメージがあるかもしれません。業績が悪いから職場が暗いのか、職場が暗いから業績が悪いのかはさておき、こうした会社や職場で上司が明るい性格だと救われることも多いはずです。
ただ裏を返せば、明るい上司が評価されている組織は、それ以外にメンバーのやる気にポジティブな影響を与えるものがないということでもあります。
最近、急に明るい性格の人が出世し始めたとか、入社してくるのは明るい人ばかり……という会社や職場は、トップやリーダーが他に打つ手がない可能性もあるので注意が必要かもしれません。
【まとめ】
「明るさ」が必要な組織は、問題の多い組織かも!?
この記事は、『自分のやる気が上がるのは、どっち?』(田中伸明/クロスメディア・パブリッシング)に掲載された内容に、編集を加えて転載したものです。
ベスリ会総院長、日本神経学会認定医、医師会認定産業医、東洋医学会専門医。鹿児島大学医学部卒業後、諏訪中央病院で地域医療に従事。その後、厚生労働省でマネジメントを、マッキンゼー・アンド・カンパニージャパンで経営を学ぶ。その経験を生かして会津大学理工学部、日本大学工学部、京都産業大学経営学部の教授として大学教育に従事。ビジネス領域で活動した医師免許所有者の社会的責務として、日本を支えるビジネスパーソンのメンタル障害を解決することが重要と考え、ベスリクリニックを開設。医学だけでは解決できない問題に対して独自の社会的アプローチを開発するとともに、ビジネスを含め、広くサービスを探査、提供している。著書に『マッキンゼー×最新脳科学 究極の集中術』など。
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