こうした問題が顕在化したのは、日本企業の体質の変化が密接に関係しています。
日本企業の多くは、終身雇用や年功序列を前提とした「家族主義」を貫いてきましたが、1990年代初頭のバブル崩壊によって体質改善を余儀なくされ、欧米流の成果主義に舵を切ったことで、現在ではそれが主流になりつつあります。
昭和の時代は、上司の指示や意見は「絶対」と考えられていました。
会社のトップが「右」といえば、全社一丸となって右に向かうのが当然のこととされていましたが、現在では誰の判断が正しいのかわからないような時代となって、上司そのものがジャッジに迷うような時代になっています。
僕は日本の大手企業の管理職の人が、飲み会の席でこんな話をしているのを聞いたことがあります。
「俺は自分の上司には絶対に本音を言わないよ」
自ら管理職の立場にある人が、自分の上司に本音を「言えない」のではなく、「言わない」と公言しているのです。
この人が例外ではないことは、僕が自分のフェイスブックを使った250人の調査でも明らかです。
「あなたは自分の上司に本音を言えますか?」
この質問に対して、4人に1人が「上司には本音を言うべきではない」と答え、3人に1人が「上司には本音を言っていない」と回答しています。
このままでは、職場の心理的安全性が高まるはずがないと思ってしまいます。
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