競合他社のビールの中に埋もれてはいけない。開発メンバーはこうした不安を感じたので、いったん決まりかけていたデザインを白紙に戻した。再び議論を重ねていく中で、ある言葉が浮かんできた。ビール樽の形状をモチーフにしたデザインはどうかと。
それだけではなく、企業のロゴをデザインとして扱うのはどうかと。商品名はストレートに打ち出して、コピーも装飾も少なくするのはどうかと。さらに、左右非対称にして、王道のデザインから外れるのはどうかと。次々に、業界のセオリーと逆のことを提案していく。なぜか。
冒頭で紹介したように、店頭での「違和感」に着目したからだ。たくさんの商品が並んでいる中で、消費者にはあえて違和感を覚えてもらう。しかし、口で言うのは簡単だが、そのバランスは難しい。奇をてらいすぎると、ビールとして認められない可能性があるからだ。
不安を覚えながらも、開発メンバーは「自分たちは、ビール樽のデザインがいい」と感じている。しかし「独りよがりになってはいけない」ということで、コニカミノルタが提供している脳科学プログラムに注目する。
デザインが人の印象や注目度にどのように寄与しているのか。こうしたことを解析するソフトを使って、新しいデザインはどのように受け止められるのか。可視化を試みたところ、“分かりやすい”結果がでた。
上と下に描かれている社名と真ん中の「生」の文字を見ている人がものすごく多いことが分かってきたのだ。ちなみに、解析ソフトを使って、計3種類のデザインを試すことに。他の2種類は小さな文字が並んでいることもあって、人の目線は分散していた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング