4月に登場した「サントリー生ビール」(350ml、199円)がいい感じで売れている。発売3カ月で200万ケース(1ケースは大ビン20本換算)を超えていて、当初の販売計画を1.3倍に増やしたのだ(300万→400万ケースに)。
好調の要因はいくつかある。味わいもあるし、商品コンセプトもあるし、マーケティングもある。このほかにもあるだろうが、個人的に気になっているのは「違和感」である。
「なに、それ。売れていることにケチをつける気なの?」と思われたかもしれないが、違う。売れていることに違和感を覚えているのではなく、パッケージデザインに不自然な印象をもっているのだ。
スーパーやコンビニの棚には、各社のビールがたくさん並んでいる。そんな中で、サントリー生ビールを見ると「カッコいい」とか「オシャレ」とか「洗練されている」といった言葉が浮かんでくるのではなく、どこか引っかかるのである。その謎を解いていくと、デザインが“非対称”であることが分かってきたのだ。
競合他社のビールを見ると、左右対称になっているモノが多い。その理由を調べると、諸説ある。なんとなく説得力があった言葉をまとめると、次のようになる。ビールには堂々とした姿がよく似合う。左右対称にしたほうが堂々とした印象がある。だから、左右対称のデザインが適している。
ビールにはビールの掟、業界には業界のセオリーがあるようだ。しかし、そんな不文律をあえて破って、サントリーはお客の目を引くデザインにしたという。
新商品のデザインは、大きくわけて2つの特徴がある。1つは企業名がドーンと入っていて、シンプルなネーミングを施していること。2つめは、生ビールの象徴であるビール樽をモチーフにして、会社のロゴを大きくしていること。
「そう言われてみると、ビール樽のデザインのようだな」と感じられたかもしれないが、業界のセオリーから外れたデザインは、どのようにして決まったのだろうか。
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