庶民でもクルマにはお金をかける人が少なくないため、アルファードを無理してでも買おうという人が多い。今回のアルファードが注目されるのは、経済力にモノを言わせて転売ヤーの言い値でも手に入れて、優越感に浸ろうとするユーザーがいるからだろう。
これはアルファードオーナーの二極化を端的に表しているとも言える。
もちろん普通に分割払いや現金一括で購入するユーザーもたくさんいるが、残価設定をしてでも手に入れるユーザーと、定価以上を支払ってもいち早く手に入れたいユーザーは、大きく経済状況が異なるのだ。
これは現在の日本経済の縮図を見ているようでもある。フェラーリにしても残価設定で手に入れるユーザーと、有り余るキャッシュで次々に買い替えるユーザーに大きく分かれるようだ。
アルファードの価格動向に目を戻すと、1週間ほどで価格は落ち着き始め、この原稿を書いている時点(8月中旬)で、中古車店の店頭価格は1100万〜1600万円程度まで下落したようだ。それでもグレードにより新車価格の2〜3倍となっているから、まだ当分は新古車の価格は高値を維持すると思われる。
家庭用ゲームの転売においても、もうけた転売ヤーがいる一方で、メーカーの増産により価格が下落して損失を被った業者も存在する。リスクを負っても手間やコネを駆使して仕入れ、転売して利益を得るプロの転売ヤーは、今のままではなくならないだろう。
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。近著に「ロードバイクの素材と構造の進化(グランプリ出版刊)、「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。
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