この記事は、Yahoo!ニュース個人に7月17日に掲載された「暗号資産の業者が撤退 口座の残高はどうなる?」に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。
ビットコインなど暗号資産の業者が「撤退」する際には、口座から残高を引き出しておく必要があります。しかし、筆者はうっかり口座に残したままにしてしまい、取り戻すのに少し面倒な手続きが必要になるという体験をしました。
暗号資産業者の最近の撤退事例としては、1月31日に「Kraken」が日本から2度目の撤退。米国の大手業者である「Coinbase」も1月に取引停止を発表しています。
こうした場合でも、暗号資産は「送金」することができるので、決められた期間内に他の業者などの口座に残高を移しておけば、大きな問題はありません。
しかし、口座に暗号資産が残ったままになっていると少し厄介なことになります。Krakenからは以下のような説明がありました。
1月31日までに引出しが完了されていない場合には、お客様ご自身により残高の回収方法について法務局と調整する必要が生じる可能性があります。法務局に資金が供託された後は、Krakenはお客様の引き出しに対応できなくなります。
「供託」というと、選挙に立候補するときにお金を預ける程度のイメージはあったものの、正直なところ、詳しくは理解していませんでした。
そんなある日、「東京法務局」からお手紙が届きました。見慣れない文書から、何かまずいことをやらかしてしまったのかと戸惑ったのですが、よく読むとお金を受け取れるというお知らせでした。
Krakenからの案内に従って、筆者は期限内にすべての暗号資産を引き出したつもりになっていたのですが、まだ残っていたものがあったのです。
気になる人向けに詳細を説明すると、Krakenではイーサリアムの「ステーキング」を利用していました。一般に、暗号資産は持っていても利息は発生しませんが、ステーキングでは利息のような報酬をもらえます。
イーサリアムのステーキングを解除できるようになったのは、4月の「Shanghai」アップデート後です。そのタイミングで筆者は他の業者の口座に残高を移しました。
しかしステーキングでは、2022年の「The Merge」で誕生した「イーサリアム2.0」だけでなく、「イーサリアム1.0」にも報酬がついていました。この報酬が気付かないうちに口座に貯まっていたようです。
Krakenを運営するPayward Asia株式会社は、予告した期日になっても口座に暗号資産が残っていたので、法律に基づいて日本円に交換し、法務局に供託したというわけです。金額は3729円という何とも微妙な額でした。
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