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マネジャーが育たない! 「プロ野球型」日本企業の根深い問題人的資本経営とCHROの役割(2)(2/2 ページ)

» 2023年09月06日 07時00分 公開
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10年遅い、マネジャーへの登用

 もう一つの問題点は、マネジャーとして登用されるのが5年10年遅いということです。

 日本では30代後半から40代でマネジャーになるケースが多くみられます。しかし、スーパープレーヤーであっても良いマネジャーになるにはゼロから学び直しが必要だと考えると、もっと早い段階で登用するべきなのです。

 スーパープレーヤーでなくてもマネジャーに適性のある人を早いタイミングで抜擢(ばってき)し、早期教育を受けさせることで一定のスキルを持ったマネジャーとして活躍できます。

 マネジャーとしての登用が遅いということは、それだけ才能を発揮する機会を奪っているともいえます。これでは人的資本を最大化できているとは言えないでしょう。

 海外では、早い段階からジュニアマネジャーになってキャリアを積み、40代前半でCxOとして活躍している人もたくさんいます。日本でも20代のうちからジュニアマネジャーとして抜擢し、マネジャー人材を育成していくべきなのではないでしょうか。

20代のうちからマネジャー人材を育成していくべき(画像はイメージ、提供:ゲッティイメージズ)

人的リソースを活用するため、日本企業がすべきこと

 このように日本でマネジメント人材不足を解決していくには、適性のある人物を早いタイミングで抜擢すること、そしてマネジメントスキルを学べる環境を作っていくことが鍵になります。

 マネジャーとして適性のある人もいれば、プレーヤーとして活躍していくことに適性のある人もいます。重要なのは、本人の意思と会社の状況を考慮した適材適所をいかに実現するかなのです。

 しかし、多くの企業ではプレーヤーとして結果を出してからマネジメントへ、という単線のキャリアしか用意されていません。スペシャリティを磨いてプレーヤーとしてさらに高みを目指すという選択肢も用意する必要があります。

 人的リソースを最大限に活用するために、CHROはマネジメント人材の育成や早期抜擢による昇格などを推進し、全社視点での適材適所の実現に向けた方針を打ち出していくことが求められます。

著者紹介:佐藤邦彦(Thinkings 執行役員CHRO)

1999年、東京理科大学理工学部卒業。同年、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)入社。業務改善・IT導入支援などのコンサルティングに従事した後、2003年にアイ・エム・ジェイに転職し事業会社人事としてのキャリアをスタート。7年半の在籍中に採用、育成、制度運用、組織開発、労務などを幅広く担当し、後半はチームマネジメントを経験。11年にIMAGICAグループに移りグループ人事を担当。以降、14年よりライフネット生命にて人事総務部長、17年より電通デジタルにて人事部長を歴任。20年4月よりリクルートワークス研究所に参画し、22年8月まで『Works』編集長を務める。22年10月より現職。

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