新型コロナウイルスが5類に移行したことを受け、国内外に旅行する人が増えている。一方、観光業界の人手不足は深刻で、客単価向上につながるサービスの高付加価値化は避けられない。本特集では、富裕層向けのプランを開発した背景や、売り上げ向上につながる戦略などを紹介していく。
全国的な知名度を誇る徳島県の阿波踊りが8月12〜15日にかけて開催された。3年ぶりの開催となった昨夏は、コロナ禍の影響で座席が7割程度に制限されていたため、コロナ前の規模での開催は4年ぶりとなった。地元新聞社などによるずさんな運営で、数億円の累積赤字を計上していた阿波踊り。客単価アップの目玉として、今夏は初めての取り組みとして食事と踊りを特別席で堪能できる「プレミアム桟敷席」(1人20万円)を提供し、収益性の向上を目指した。実際にやって見えてきた収穫と課題とは。企画したアソビュー(東京都品川区)に話を聞いた。
プレミアム桟敷席では、踊りの団体「踊り連」による踊りの解説とともに、徳島名産の「鳴門金時」やブランド肉「阿波尾鶏」「阿波牛」などの食材を使った豪華な食事を提供した。仮設席として、通常の座席よりも高い場所に座席を設け、踊りをじっくり堪能できることをウリにした。
価格は1人20万円で1テーブル最大4人まで利用可能。訪日外国人対象に1公演(約90分)で最大5枠を販売したところ、12日の初回公演分は全枠が完売した。アソビューによると、購入者の国籍は台湾と日本が2グループ、米国が1グループだったという。
価格設定に関しては、ねぶた祭り(青森県)の事例を参考にした。ねぶた祭りでは、祭りや地域文化のコンサルティングなどを手掛けるオマツリジャパン(東京都練馬区)が「プレミアム観覧席」を100万円で販売し、同様のサービスを提供している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング