製品知識や業務ノウハウを学習させた機器にも搭載可能なコンパクトな言語モデル、ファクトチェックなどのリスク軽減技術、作業分析など既存のMaisartとの連携技術――などを開発することで、生成AIを活用する際の実用性と安全性を高め、製品・サービスの利便性向上や顧客の困りごと解消につなげていきたいと考えています。
また、開発プロセスの中でも生成AIを活用することで、工期の短縮や品質向上を図り、製品競争力の強化につなげていきます。
これまで、当社では複数の研究部署で幅広い分野のAI開発を進めてきましたが、今年7月に研究者を集約する形で、生成AIの活用をスピーディに検討するプロジェクトチームを発足させました。同チームを中心に、生成AIのビジネスインパクトを分析し、生成AIを活用した製品開発戦略や知財戦略を早期に策定していきます。
当社ではAI倫理ポリシーを策定し、公平性の尊重や安全性の確保など必要な条件を明確化してAIの活用を進めてきました。また、社内でAI品質ガイドラインを整備してきました。AIはブラックボックスであると言われることがありますが、AIにさまざまなデータを入れて挙動を網羅的にテストするとともに、AIの入口と出口を監視し、異常なデータの入力や仕様に反する出力を防止する仕組みを設けるなど、AI搭載製品を安心して使ってもらえるよう努めてきました。
生成AIは新しい視点でリスク対策が必要だと認識しています。例えば、機密漏えい、著作権などの権利侵害、輸出管理違反、虚偽情報への対処などを考慮する必要があると考えています。生成AIのリスクに対するAI倫理ポリシーや品質ガイドラインを早期に定めていくとともに、リスクを軽減する技術の開発も進めていきます。また、AI品質に関する学会やコンソーシアムでも生成AIの検討が始まっており、これらの活動に参加し、社外の有識者と議論を深めることで最新の知見や動向を取り込み、リスク低減を図っていきます。
当社では、ビジネス活用のみならず、社内の業務改革にも積極的に活用する方針です。まずは、三菱電機グローバルIT基盤サービスを利用する三菱電機および国内関係会社従業員約12万人を対象に、生成AI利用環境を8月31日にリリースしました。
あわせて、利活用ガイドラインも作成しており、主なポイントは以下の4つです。
- 機微な情報、個人情報の入力は禁止するが一般の社内情報は入力可とすること
- 回答が正しいとは限らないため、生成物は自ら必ず確認して使用すること
- 生成物に輸出管理の対象技術が含まれていた場合、それを第三者に提供したり、製品に組み込んで輸出したりする場合には輸出管理手続きが必要なこと
- 生成物が既存の著作物との「類似性」や「依拠性」がある場合、著作権侵害と判断される可能性があること
【開催期間】2023年8月22日(火)〜9月24日(日)
【視聴】無料
【視聴方法】こちらより登録
【概要】ChatGPTが登場直後から注目を集め、業務利用や自社サービスへの応用など活用が広がっている。ChatGPTはビジネスをどこまで変えるのか――AI研究の第一人者・松尾豊氏と、ChatGPT活用術の発信で話題の深津貴之氏が語る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング