スターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴーが他のアマゾン・ゴーと最も異なる点は、ゲート内にサードプレイスとなるカフェテリアがあるところです。スターバックスと提携した店舗では、ゲート内にカフェテリアがあることで、注文や決済せずにそのまま陳列商品を食べられることになります。
昨年7月には2店舗目となるスターバックス・ピックアップ・ウィズ・アマゾン・ゴーをNYミッドタウン・ウエストサイドにある52階建てニューヨーク・タイムズ・ビルの1階部分にオープンしました。2019年9月までディーン・アンド・デルーカがあった場所(420 8th Ave New York NY 10018)で、8番街と40丁目のコーナーとなっています。
スターバックス・ピックアップにアマゾンゴー、さらにカフェテリアとなるサードプレイスの新業態ですが、筆者は先日、平日の午前中に両方の店舗を訪れましたが、サードプレイスとなるカフェテリアを利用しているお客は少なく感じました。一方でピックアップに並ぶお客は途切れない印象です。
忙しいニューヨーカーということもありますが、今のスターバックスにはサードプレイスはあまり求められていないと感じました。実際のところ、2店舗目以降、同業態は新規出店していません。
ところでスターバックスにとって冷たい飲み物はZ世代など若い人に大人気であると同時に、客単価の高い高価格メニューとなっています。ただ調理の手間も多くて時間がかかってしまうのが、時間のない顧客にはデメリットです。
1990年代中盤から2000年代終盤に生まれた若い世代はファストフードなどで、レジ行列に並んでスタッフに口頭で注文するような注文スタイルをあまり体験していません。レジ注文の仕方が習慣化していない上、そもそも非効率なレジ行列には並ばないのです。モバイルオーダーをニューノーマルとする前の世代と異なり、モバイルオーダーは彼らにとってノーマル(常識)なのでしょう。しかもモバイルオーダーでは自分の嗜好(しこう)に合わせてカスタマイズした注文できます。
例えば、チョコレートやキャラメル追加に低脂肪ミルクから無脂肪ミルクへの変更、ホイップクリームの増量、さらに有料となるエスプレッソショットの追加など、Z世代は自分好みのカスタマイズ注文がデフォルトになるのです。
レジ注文を経験していないからこそ、モバイルオーダーではアプリを見ながら、じっくり時間をかけて自分好みのドリンクを作るのです。つまり、若い顧客が増えたことでモバイルオーダーを介して、冷たくて甘い飲み物にホイップクリームの追加やチョコチップまで増量することで、客単価が上がっているともいえるのです。
コーヒーチェーンといえども、顧客の変化に合わせて自分たちもどんどんと変化しなければならないということなのでしょう。コロナ禍以降、ハイブリッド勤務が定着する米国では、わざわざサードプレイスに行く必要性は薄れているようです。
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