コロナ禍で新車の納期が遅れ、特需に沸いた中古車業界が、苦境に追い込まれている。帝国データバンクの調査によると、中古車の買い取り・販売を手掛ける「中古車店」の倒産は、1〜9月に57件発生。2022年の年間件数(52件)をすでに上回り、過去10年で年間最多の90件に到達する可能性がある。
21年以降はコロナ禍の影響で半導体など部品供給が滞り、新車の納車遅れが多発。その結果、ユーザーの買い替え需要が中古車に殺到し、一部では新車価格より中古車価格が上回るという逆転現象も起きた。23年3月期の中古車販売市場は、過去最高となる3.9兆円を記録するなど好調だった。
特需に沸く一方、過熱する中古車人気によって中古車の仕入れ価格が高騰。厳しい価格競争のなかで、価格転嫁に苦慮する中古車店の倒産が増えているという。
さらに、23年に入り業界首位の「ビッグモーター」をはじめ業界大手の不正が相次いで発覚し、中古車業界に対する顧客の目が厳しくなった。販売やアフターサービスの整備入庫にも影響が出始めており、3月時点と比較した9月時点の中古車店の業況が「悪化」と回答した企業は16.3%となった。
帝国データバンクは「業界に向けられた消費者の不信感をいかに払底できるかが、今後の中古車業界の先行きを大きく左右するとみられる」としている。
調査の集計対象は、負債1000万円以上の法的整理による倒産。期間は1月1日〜9月30日。
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