ホテルの客室単価、11ブランドでコロナ前超え 東京商工リサーチ「値上がりはさらに加速」

» 2023年09月06日 08時00分 公開

 コロナ禍で大きな痛手を負ったホテル業界だが、移動制限の解消や入国審査の緩和により、急速に客足が回復している。東京商工リサーチの調査によると、ホテル運営を手掛ける上場企業11社の客室単価は、コロナ禍前と比較可能な12ブランドで平均1万2782円。コロナ禍で最安値だった2021年の平均7236円に比べ、76.6%上昇していることが分かった。

photo 東京商工リサーチが上場ビジネス・シティホテルを調査(画像はイメージ)

 ビジネスホテル(8ブランド)の稼働率と客室単価をみると、最低稼働率は20年の32.1%で、最安値の客室単価は21年の5960円だった。同社は「度重なる緊急事態宣言や行動制限などで稼働率の低迷が長期化するなか、客室単価を抑えて営業を継続する施設が相次ぎ、単価を押し下げた」と分析する。

photo ビジネスホテルの稼働率と客室単価(4〜6月)

 ファミリー層や観光利用が多いシティホテル(4ブランド)の最低稼働率は、20年の16.8%だった。コロナ罹患者の療養先として施設提供の機会があったビジネスホテルに比べ、シティホテルの稼働率は大幅に落ち込む結果となった。客室単価は21年に9789円まで低下し、コロナ禍前の19年(1万5757円)比で37.8%下落した。

photo シティホテルの稼働率と客室単価(4〜6月)

 東京商工リサーチは「長引く円安も追い風に、今秋以降、ホテルの客室予約は国内旅行客と訪日観光客との間での争奪戦が増す可能性が高い。大手に限らず、ホテル運営各社の客室料金の上昇機運はさらに高まりそうだ」とコメントした。

 調査は、国内の上場ホテル運営事業者の客室単価と稼働率に関して集計開示資料をもとにした。本調査は今回が初めて。

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