クリーニング店の倒産が急増している「3つの要因」とは? 帝国データバンク調べ

» 2023年08月10日 07時00分 公開

 クリーニング店の倒産が相次いでいる。帝国データバンクの調査によると、1〜7月に発生したクリーニング店の倒産件数は21件。すでに2022年の倒産件数(15件)を上回っており、このペースで推移すれば過去最多を更新する可能性が高いという。

photo クリーニング店の倒産が相次いでいる(画像はイメージ)
photo クリーニング店の倒産件数推移(出所:プレスリリース、以下同)

 コロナ禍の外出自粛や在宅勤務の拡大で、スーツやワイシャツ類の注文が激減。また、冠婚葬祭の中止でフォーマル衣装需要もほぼゼロに近い状態が続き、クリーニング店はコロナ禍で甚大な影響を受けた業界の1つだ。

 コロナ直後の21年3月期は8割超が減収、赤字も最大で半数に上った。22年も在宅勤務の定着から需要が伸び悩み、限られた顧客を競合他社と取り合う状態が続いている。

photo コロナ前と比較した売上高、損益動向

 また、食品の値上げで家計の節約志向も強まっており、事業者からは「ダウンジャケットなど単価の高い冬服や、夏休み期間中の学生服も、節約のため例年より量が少ない」といった声が聞かれた。さらに石油やガス、ハンガーや溶剤なども高騰しているが、客離れを懸念し「値上げに踏み切れない」「一部しか値上げできない」という状態が続いている。

 帝国データバンクは「在宅勤務・物価高・節約志向の三重苦から経営体力が限界に達し、事業継続をあきらめる倒産が急増しており、今後さらに増加する可能性がある」と指摘する。

 調査は、負債1000万円以上の法的整理による倒産を対象に実施した。集計期間は1月1日〜7月31日まで。

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