値上げの動きが映画館にも広がっている。帝国データバンクの調査によると、大手シネコンや地域の大規模映画館など計50社のうち、32社が昨年以降に映画チケットを値上げした(6月21日時点)。このうち、2023年以降に値上げしたのは27社、チケット料金は据え置いたものの館内飲食や3Dメガネなどの料金を改定したのが1社だった。
価格改定前後のチケット料金をみると、23年以降は1900円から価格を引き上げる動きが目立ち、21社が23年6月以降の鑑賞分から通常料金を2000円へ値上げした。シニア料金では、22社が1300円と設定した他、レイトショーでは1500円とした企業が18社に上った。値上げした各チケット料金はいずれも100円の値上げ幅にとどまり、標準的な映画鑑賞料金は2000円が相場となった。
値上げの背景には、円安などによる原材料の価格高騰、水道光熱費や人件費の上昇といった運営コストの増加が多く目立つ。価格改定の理由が判明した24社のうち、最も多かった要因は「水道光熱費の増加」(18社)で、値上げ理由の約7割を占めた。
一方、「最新設備への投資」(16社)など前向きな値上げもあり、理解を求めるケースも見られた。帝国データバンクは「映画館の料金値上げが利用者に受け入れられるかが今後の注目点となる」と分析する。
調査は、全国の映画館事業者のうち、「5スクリーン以上」または「総収容人数500人以上」の設備を有する50社を対象に実施した。
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