10年ぶり刷新「あずきバー」 どうしても「商品裏のラベル」を変えたかったワケ50周年(1/2 ページ)

» 2023年03月30日 05時00分 公開
[菊地央里子ITmedia]

 井村屋の看板商品である「あずきバー」が、約10年ぶりにリニューアルした。あずきバーといえば、2021年度には年間販売本数が3億本を突破するなど、アイスクリーム市場で確固たる地位を築いている。発売50周年という大きな節目を迎え、どこをリニューアルしたのか。よくよく見ると分かる。商品の裏にあるラベルだ。

azuki 発売50周年を迎えた「あずきバー」(プレスリリースより引用)
azuki 新旧のラベルを比較すると……(プレスリリースより引用)

 新旧のラベルを比較すると、コーンスターチがなくなっている。同社の嶋田孝弘さん(開発部冷菓チーム長)によると、今回のリニューアルでは、原材料の一つであるコーンスターチを、あずきの生豆を粉砕しパウダー状にした「あずきパウダー」に変更したのだという。

 一カ所の変更だが、大変な苦労を伴った。これまでも同社は、一部商品には「あずきパウダー」を使用した実績はあったが、最も販売量が多いあずきバーとなると話は変わる。特に、あずきパウダーの配合量の決定には苦労を重ねた。あずきパウダーに変更したことで、味やくちどけ、舌触り、固さ、色など、それまでのあずきバーのよさを損なわないように調整。またパウダーの安定製造のため、設備も増強した。

azuki 一カ所の変更だが、大変な苦労を伴った(プレスリリースより引用)

 それだけではない。何といっても50年という長い歴史を持つ看板商品のリニューアルだ。経営層、関連部門など多方面からさまざまな意見が集まる中、どれを取捨選択するのか。社内調整も一苦労だったという。

 あずきバーは1973年に誕生。「ぜんざいを凍らせたようなアイスができないか?」という発想から生まれ、いまや確固たる地位を築いているロングセラーだ。それなのになぜ、これほどの苦労を重ねてまで、この一カ所の変更のためにリニューアルに踏み切ったのか。

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